高須城日記W(春前編)
(平成十九年度・棚田オーナー/福井市 藤田幸治)
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【四月の一/親子で入学式・・・!】4月6日(金)
四月の声を聞くと、街は俄かに新しい風が吹いているような感じとなっている。真新しい制服に身を包み少し前までの学生気分も忘れたかのように、急ぎ足で歩く新人OL達がどことなく愛い愛いしい。そして、こちらは何故かぎこちなく新調スーツとピカピカの靴で登場の新米サラリーマンだが・・・やはりネクタイの結び方も・・・まだまだ新米研修中のようだ。
そんな若者が春の日差しの中を歩く福井市中心部だが、その新社会人に混じって朝の歩道では、登校途中の中学生たちの可愛い姿も見受けられる。つい先日までランドセルを背負っていた子供たちが、購入したての中学校の制服も・・・まだぎこちなく感じ、元気に仲間と話ながら少し遠くなった通学路を歩いて行く。そんな新1年生を見ていると、何故だか笑ってしまう私なのだ(だって・・・可愛いですから!)。
児童から生徒に・・・と、呼ばれるのだが、制服姿で少しだけ大きくなったような・・・そうでもないような春の一日がある(三年後には学生と呼ばれるね!)。
そして本日、新しい白の外ズックを履いた新・中学1年生が保護者(ほとんどが母親!)と共に入学式に向かっている。男の子は学生服の詰襟が慣れないのか、何度も首元を触りながら左右に首を動かしている。女の子は制服のスカートを気にしながら少し早歩きでいた。
しかしながらどちらがこの日の主役なの?と言いたくなるような母親の服装には驚く私。カラフルな洋装の胸元には「大きくないか?」と、言いたくなるようなコサージュがあり、腕に抱えたブランド物のバックも一際輝いている。また、和装の母親は慣れない履物に「ゆっくり歩いてよ!」と、少し前を歩く子どもに話している。
こんな保護者の気持ち・・・理解出来ない訳でもないのだが、あくまでも主役は子供である事を再確認して欲しいものだ(それにしても・・・・驚くご婦人の姿です!)。
この日の福井市内は、市立中学校全校と一部県立高校で入学式が予定されていた。桜の花も、まだまだ綺麗な美しさを見せていて透き通るような青空とマッチして、この日の入学式を演出してくれている。
「入学式・・・僕は誰と行くの?」と、昨晩聞いていた次男だったのだが、「当然・・・お母さんよ!」との妻の言葉に嬉しさと少しの恥ずかしさの表情を覗かせていた。
明道中学校=私・・・と、幼い時から感じていただろう次男にとって「でも、また入学式の時・・・学校に来ているんでしょう?」と、小声で私の耳元で囁く次男だった(当然!)。
「何組になるのかな?順化小学校の友達は同じクラスになるのかな?担任の先生はどんな先生かな?まさか田中先生だったりしてね?お父さん・・・知らないの?!」と、ワクワクドキドキの入学式前の次男はこれから始まる新しい中学校生活に少し興奮していたのだ。
そして、昼過ぎ・・・少し大きめの学生服を身体に纏い?妻と共に明道中学校へと登校して行った次男。「デジカメ忘れるなよ!校門の所で撮れよ!」と、出掛けの妻に話した私に「どうせまた高須町のHPに載せるんでしょう?」と、呆れ顔の妻だった(正解!)。
自宅から徒歩15分、妻と次男が明道中学校に出かけると慌てながら近所での配達を1件済ませ、私も仕事着で失礼かなと思いながら、可愛いい次男の入学式をひと目見ようと明道中学校へと車で出かけることにしたのだった(かなりの・・・親バカです!)。
福井市中心部の北にある我が母校の明道中学校(校章は北極星です)は、JR福井駅から徒歩15分でその福井駅周辺から東西南北にかなりの校区の広さを持つ歴史と伝統のある中学校である。
そんな明道中学校に保護者と新入生が歩いている。晴れの入学式はもうすぐだ。おそらく妻と次男もこの中の一組となりあれやこれやと話ながら校門近くまで来ていることだろう。
そんな保護者と新入生の姿を見ながら私は車を走らせていた。明道中学校の校門にさしかかると、何組もの親子が記念にデジカメで〔平成十九年度・福井市明道中学校入学式〕の案内板横で記念の一枚を撮影している。同じ小学校の出身同士だろうか、交代でシャッターを押している親子。どの顔も笑顔なのだが、新入生の顔は少しの緊張感となっている(可愛い・・・!)。
私はいつものように車を職員玄関前に止め、一人職員室に入って他の先生方と挨拶を交わしていた。そんな時、「息子さん、いよいよ入学式ですね」と、後ろから声がかかった。振り返ると校長先生だった。「宜しくお願いします」と挨拶をすると、「こちらこそ」と、優しい笑顔の校長先生。
私はまたまたお茶を頂きながら入学式前で慌ただしい先生方を見ながらのんびりと一人くつろいでいたのだった。
しかしここで、よくよく考えてみれば、PTA会長としての二年間(H.13・14)と、その後の学校評議員としての四年間はすでに先月31日付けで終わっていた私。つまりこの日の私はタダの・・・一保護者だった。その一保護者が偉そうにお茶を飲んでいる(まあ・・・いいか!)。
入学式30分前、私は職員室から体育館を通り生徒玄関に来ていた。生徒玄関は新入生やその保護者で混雑していた。そんな中で、妻や次男の姿を探すのは一苦労で・・・当然中々見つからず・・・・諦めかけた時だった。「藤田さん」と女性の声が聞こえたのだ。振り向くと知り合いの春山地区のお母さんだった(美人ですよ!)。
「こんにちは!」と挨拶をすると「藤田さんと同じクラスです!」と、お母さんが言うのだ。「えっ!そうなんですか?」「そうですよ!」「これも不思議なご縁ですね!」「そうですね!」混雑する生徒玄関でのこんな会話だった。
生徒玄関から廊下に上がると・・・そこには幾つかの受付テーブルがあり、そこには新入生のクラスが案内されている。
今年度の新入生は190名で7クラスに分けられていた。私はクラスを確認する保護者の隙間から、次男のクラスをチェックするのだが・・・・中々出来ない。すると、顔見知りの先生から「藤田さんは・・・6組ですよ!」と、声がかかった。
「1年6組か・・・!」と、独り言を言いながら生徒玄関の方を見ると、ようやく妻と次男の姿を確認した私。妻は順化小学校の同じクラスだった保護者と楽しそうに談笑していたのだった。そんな妻と次男の処へ近づいた私は「6組だよ!」と報告すると「知ってるよ!」と妻が答えた(何だ?)。
入学式を控えた体育館は、後方に保護者席が並び前方には新入生の椅子が綺麗に並べられている。そんな中ブラスバンド部が新入生を歓迎する演奏をしている。新しい中学校の制服に身を包む一年生、そしてこちらは少しおめかししたお母さん達が手にデジカメを用意しながらその時を待っていた。
私はこの時、このまま保護者席で次男の晴れの入学式を見ようと思っていたのだが夫婦二人で参加するのも何故か照れくさく・・・そのまま先生方に挨拶しながら体育館を後にしたのだ。またまた職員室にて本日二回目のお茶を頂きながら事務の先生と高須町の話題であれやこれやと花が咲いていた。
微かに聞こえてくる体育館での入学式の声と音。次男は緊張しているかな?・・・大丈夫かな?何て考えながら静かな職員室での一時を過ごしていたのだった(昔の話ですが、航空自衛隊の入隊式で緊張からか・・・倒れた想い出が!)。
入学式の後は・・・生徒たちは教室で新しい教科書を配布され、そして始めて顔を見る担任の先生から色々の話を聞くらしい。そして、保護者もPTA関連の事など少しの時間が必要となるのだ。「一緒に帰ろうかな?」と考えていた私だが入学式当日から親バカのような気もして、ここは妻と次男を残して仕事に戻る事にしたのだった。職員玄関を出ると、明道中学校の自慢の桜が南の空からの日差しに照らされて美しいピンクの花を私の目と心に癒しをくれていた。「綺麗だなぁ!」そんな言葉が自然と声になり・・・私の足を止めていた。
心地よい春風に靡く桜を見ながら車に乗り込み店へと車を走らせた私、そんな時・・・入学式真っ際中のはずの妻から携帯に着信があった。「どうした?」と、聞いた私に次男の友達が入学式時に気分が悪くなって保健室で休んでいるから・・・迎えに来てとの、妻からの連絡だった。
1時間ほど市内のお客様宅で修理を済ませ、再び明道中学校に車を走らせた。急いで保健室に入ると妻とその友達の母親がベッド横の椅子に座り、心配そうに横になっている次男の友達の顔を覗きこんでいる。保健のN先生は順化小学校から数年前に明道中学校に転任された先生で、長男は勿論の事、次男もその友達も昔から知っているのだ(心強い!)。
「お迎えですか?お疲れ様です」そんな優しい言葉をかけて下さる保健のN先生だが、数年前からこの明道中学校でお逢いする度に何かと私自身もお世話になり、会話の中で次男たちが入学するのを楽しみにしていて下さっていたのだった。
保健室の外はにわかに騒がしくなってきた。どうやらこの日の入学式以降の全ての行事が終わり、保護者も新入生も帰路の途に着くようだ。私は妻達を残し校舎の外に出て、次男を探す事にした。多くの新入生達や保護者が一斉に生徒玄関から流れてきた。そんな中、次男もうろうろと周りを見ながら歩いてきた。そして私を見つけると「お父さん・・・!」と、小走りで歩み寄ってきた(可愛いい!)。「お疲れさん・・・帰るぞ!」と、次男に言うと「少し、緊張したよ!」と、入学式を振り返る次男だった。
この後、私の車には妻と次男・・・そして顔色が悪い次男の友達とそのお母さんの四人を乗せて家まで送る事になったのだ。車中では次男が「大丈夫か?大丈夫か?」と、クラスメイトを心配していた。「うん・・・・・・」と、小さな声で答える友達だが、自宅が近づくにつれいささか顔色も良くなってきたようだ(よかった!)。
同級生とそのお母さんを送り届けると、車は再び自宅とは逆方向へと向かった。晴れの次男の姿を一番見たいと願っている私の両親が待つ・・・・店だった。店に着くと、仕事の手を休め・・・・店前の歩道での、まずは次男を中心に記念写真となった。
フェニックス通りに面している私の店だから、歩行者も多いのだが、この日の入学式を知っているのか知らないのか、この記念撮影には、どの歩行者も少し小走りで少し遠回りでこちらを見ながら通って行く。そんな歩行者にいちいち「すいませんね!ごめんなさいね!」と、声をかける私の母。するとどの歩行者も少し笑いながらカメラにポーズを撮る学生服の次男、妻、両親の四人を見ていたのだ。
緊張の入学式の一日、この日入学式を迎えたそれぞれの子供たちに新しい想い出が加わった事だろう。新入生代表で挨拶した子(次男の友達!)、緊張した子(次男!)、具合が悪くなった子(これも次男の友達!)、少しと遠方の中学校に通う事になった子(これは高須町の光くん!)と、長いようで短い・・・・門出の一日だった。
入学おめでとう!勉強にスポーツに頑張れよ!
あっ!そうそう・・・・因みに、次男のクラスの理科担当の先生は・・・・田中先生でした!
△男の酒のつまみ・・・238
山菜の天麩羅!
雪の少なかった高須町では、今年は春の訪れも早く道沿いの土手の奥には私の大好物である数種類の山菜が顔を覗かせていた。そこで少しだけ(今夜の分だけ)・・・摘む事にした。こごみ・独活(うど)・たらの芽と春の息吹が感じられる山菜だ。
勿論、今宵は天麩羅で晩酌だ。そして、天つゆよりも・・・ここは・・・塩で頂く!「うん・・・最高!」
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【四月の二/永久保存版だね?!】4月10日(火)
「春は桜の季節???」なんて言うのもこの時期までの事だろうか、桜の花が満開から少しずつ散る頃になると中年男にとって少し寂しさを感じてしまうものである(私だけかな?!)。毎年の事ではあるが桜前線が北に移動するにつれ、その桜の花が舞い散る道路や歩道では、ほうき&ちりとり片手で近所の奥様達総出での清掃作業が朝の日課となっている。
先日まで「今年も・・・綺麗な桜ですね!」と、眺めていた桜の木々も・・・・「毎日毎日、掃いても掃いても!」と、溜息交じりのお小言が聞こえる我が町内である(ご苦労様です!)。
そんな我が町内の朝の慌ただしさの事から・・・癒しの里・高須町の事なのだが、四月に入ると俄かに町の皆さんの行動範囲は広くなり忙しそうにあちらこちらと畑や田んぼ作業に活気を帯びている。例年より雪の少なかった昨年から今年の冬だが、雪解けも知らないうちにと・・・・元気に農作業に向かう皆さんがいた(本当に高須町のお年寄りの皆さんはお元気です!)。
でも・・・やはり休校となった高須城小学校の校舎に灯りが無いと・・・寂しいものである。畑仕事や田んぼに向かう高須町の皆さんも、ついついその途中でその校舎を見て、どこか寂しげな表情となってしまうのである。子供たちの笑い声、ギターを爪弾く音、グランドを走る姿、美味しそうな給食の匂い、そのどれもがこの小学校の前にたたずむと・・・・今でもそんな毎日の学校での出来事が思い返される私であった(高須町の皆さんは私以上に・・・寂しいでしょうね???)。
そうそう、三月の末に福井テレビ《福井っ子はいま・・・》でその高須城小学校の休校までがドキュメントで放送された。昨年秋(10月)から幾度となくこの高須城小学校を訪れ、先生や光くん、そして岬ちゃんを追いかけた番組だった。
「三月の末に放送されますから、藤田さん是非見てくださいね!」と、幾度となく石村和道校長先生からお話があった番組だった。「勿論です・・・楽しみにしてますから!」と、話していた私は、放送当日いつものように録画をしようとビデオにテープをセットし次男と共にテレビの前でスタンバイしていたのだ。
番組の冒頭には美しい高須町の景色が映し出された。そして「卒業生・・・一人、在校生・・・一人」のナレーションで始まった。
『ふるさとの宝』〜たった2人の卒業式、福井市・高須城小学校〜と、いうタイトルだった。あの感動の卒業式から始まった番組は、光くんと岬ちゃんそして先生方全員の卒業写真に収まる映像と、光くんが校庭で坂川優福井市長や大勢のご来賓、地元・高須町の皆さんから祝福の拍手で送り出される光景があった(卒業式を想い出してしまった!!!)。
『一昔前にタイムスリップしたような木造校舎』の二階の教室で五・六年の複式学級授業が行われていた。担任は、藤川純一教頭先生で・・・児童はもちろん・・・光くんと岬ちゃんだ。教室での授業が終わると・・・今度は何やら体操服に着替えて高須山までの登山???いやハイキングのようだ。
引率するのは、藤川先生と畑先生、そして私は一度もお逢いしていないALT(英語指導助手)のピーター先生だ。5人は水筒を肩から下げ、自分の庭でもあるような、これまで何十回?も登っただろう高須山の頂を目指して歩いて行く(ピーター先生、高須山登山は初めてらしい!)。
高須城小学校から高須山山頂までは・・・約50分!先頭を歩く光くんは途中で拾った長い木の枝を手に、木々の間にある蜘蛛の糸と格闘している。頂上(城山・じょうやま)に着くと、光くんは360度絶景のパノラマを楽しみ・・・岬ちゃんはデジカメで植物観察をしていた。そしてこの時、高須山の頂上で二人はある事を思い付いていたのだが・・・それはまだまだ秘密らしい。
昨年11月1日、学校の体育館には岬ちゃんと光くん、そして石村校長先生、藤川先生と畑先生がいた。そして何やら優しいお顔の見慣れたおまわりさんが・・・・鷹巣駐在所の小西さんだ。今日はその小西さんを先生として招きどうやら防犯訓練のようだ(でも、高須町には不審人物はいないでしょう!あっ・・・俺か?)。
この日、不審人物役の藤川先生(サングラスをかけてはいるが・・・やっぱり優しいオーラが!)が光くんと岬ちゃんに声をかける。
「一緒においで・・・!」と、無理やり光くんの手を引っぱる不審人物役の藤川先生、これに対し「止めて下さい・・・教頭先生!」と、逃げて行く光くん(何で「教頭先生!」なのか?)。
今度は車から「一緒にいなくなった犬を探して欲しい!この辺りの道を知らないから教えて!」と、岬ちゃんを車に乗せようとする藤川先生に、こちらも距離を置きながら付いていかない岬ちゃん。小西さんは「絶対、付いていかない!大きな声で近所の人に助けを求める事が必要です!」と、アドバイスしたのだ。
不審人物役の藤川先生も・・・児童二人も・・・それを見守る石村校長先生も畑先生も・・・先生役の小西さんも、みんな笑顔の防犯訓練だったのだが、一番笑っていたのはテレビの前の・・・次男だった!(私もね!)
防犯訓練が終わる頃、小学校には地元高須町の皆さんが集まってきた。体育館ではこれからミニ・コンサートがあるのだ。楽器が得意な小西さんと故・朝倉教頭先生からギターの手ほどきを受けた光くんと岬ちゃん・・・それに畑先生によるコンサートだった。いつもお世話になっている地元の皆さんに感謝のコンサートとなったのだ(それにしても、小西さんの趣味は広い・・・蕎麦打ちから楽器まで・・・!)。
実はこのコンサート&防犯訓練の数日前に、高須城小学校の休校が市教委で決定したのだ(私もこの時、石村校長先生からお話を伺いました!)。
高須城小学校に残されている記録によると、明治34年には児童数35人、大正5年には63人、そして昭和34年には60人と多くの児童がこの高須城小学校で学んでいたのだ。しかし、その昭和34年から児童数は減少となっていくのだ。
昭和55年には9人、平成4年には14人となり今年度は2人となってしまったのだった。
ここで懐かしい放送記録が映しだされたのだが、実はこの《福井っ子はいま・・・》に平成12年1月9日放送分で高須城小学校が取り上げられていたのだ。つまり七年前の映像なのだ。
この時の児童数は・・・5人で、朝元気に登校してくる児童の姿があった。この児童の中には、佐々木さんの長女(現・藤島高校3年)、長男(現・棗中3年)次男(同2年)もいた(当時は幼稚園もあった!)。そして、教室で先生から虫眼鏡で植物を観察する・・・可愛い女の子が一人???