高須城日記V(夏前編)
(平成十八年度・棚田オーナー/福井市 藤田幸治)
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【六月の一/高須町でもクールビズ?!】6月1日(木)
この何日かだが、夏を思わせるような暑い日が続いている。「寒いよりも暑い方がいい!」私はこの日朝、自宅を出る前には半袖のシャツを選んでいた(ヤング!)。
かねてからお気に入りだった薄ブルーと白・オレンジのストライプのシャツ。「コーディネートはこーでねーと!」と、ダジャレを言うと「ハイハイ!」と、妻と次男の冷たい視線。(ほっといてくれ!)
そうそう、本日6月1日からは「衣替え」となり、学生諸君やサラリーマンは白のシャツがメインとなる。永田町でも小泉首相はじめ、多くの議員先生がノーネクタイで公務をこなしていた。「クールビズ!」昨年、小池百合子環境大臣が発したこの言葉、2年目の今年は益々日本中に浸透しそうだ。
さて、自宅を出た私だが・・・右足の踵から足首にかけてテーピングをしていた。月曜日の朝から歩行の度に右足に割れるような痛さを感じていたのだが、原因が・・・思いだせず。「時間が空けば、医者に行くよ!」と、妻に言っていたのだった。
午後から私の向かう先は、福井県庁だった。昨年の秋に「ふくいコシヒカリ大賞」の応募にと、高須町の選考書類を届けて以来の県庁だった。(何故か、近所なのにここに来ると県庁・・・いや、緊張する!・・・すいません!)
「こしひかり」の時は、畜産課にお邪魔したのだが本日は、環境政策課に向かっている。そう、「みんなのかんきょう」の原稿を担当の坂本さんに届けるのだ。
お堀の橋を渡り、地下駐車場へ入ると・・・この日は満車状態でグルグルと何回も同じ道を回り空きスペースを探していた。ようやくそのスペースを見つけたのだが、どうみてもそこは県の公用車のスペースだった。躊躇いながらも「まあ・・・いいか!どうせ、直ぐに用事は終わるから」と、自分の車を駐車したのだった。(ほんとはダメです!)
エレベーターの前に立ちボタンを押した私は「あっ!環境政策課って・・・何階だろう?」と、再び正面に戻り案内ボードを見たのだった。「4階か!」と、この時エレベーターのドアが開く音。痛い足を引きずりながら急ぎドアに向かったのだが・・・ドアが閉まる直前にギリギリ滑り込みセーフ。
「よし!」と、喜んだ瞬間だった。ドアが閉まる瞬間に痛い右足が挟まれてしまい「お〜っ!」と、声を上げた(誰もいなくてよかった!)。誰も悪くないやり場のない痛さを一人エレベーターの中で噛み締めていた。(自業自得だ!)
環境政策課のドアを開け少し緊張しながら中に入ると、職員の皆さんはデスクにむかいい忙しくお仕事中。その服装は白・・・一色だった。「やはり・・・クールビズか!」と独り言。「すいません・・・坂本さん・・・は」と、私が言うと「はい!」と、席と立った坂本さん。「高須町の原稿を・・」と持参した原稿などを坂本さんに渡すと「わざわざ有難うございます。ホームページ拝見していますよ!」と、嬉しいお言葉。そして、坂本さんから意外なお話をお聞きしたのだった。「私、高須町が大好きなんです。良い所ですよね高須町は。以前、自転車(マウンテン・バイク)で登ったこともありまして・・・」と、坂本さん。「そうですか、有難うございます。これからも高須町を宜しくお願いします!」と、植木御大に替わりお礼を言ったのだった。(高須町のファンはここにもいましたよ!)この時、私は坂本さんのお話に嬉しさの余り、足の痛さを忘れていたのだった。
再びエレベーターに乗り地下駐車場に行くと・・・・係員の方と職員(公用車)の方が私の車の前で話していた。公用車が戻って来ていたのだった。「やばい!」と、急ぎ走り出した私(足に激痛が・・・!)。「すいません!今・・出ます!」と、私が言うと「やっぱり・・・藤田さんか!」と職員が微笑んだ。その職員だが・・・私の店のお客さんだった。
「足・・・どうしたんですか?」と、不規則に歩く私の足に気付いた職員に「ちょっとね!」と、私。すると、「また、片町で悪い事したんでしょう?」と、職員(ほっとけ!)。
車を急ぎ移動し、駐車場を出た私は店に戻ろうとしたのだが、足の痛さは・・・益々・・・酷くなっていた(やばい!)。「医者に・・・行くか!」と、近所の外科に向かう事にした私だった。
病院の受付。「どうされました?」と、40代の白衣の天使?!。「足が・・・!」と、私が言いかけると「保険証は・・・?」と、聞く(人の話を聞け!)。「あっ!忘れました・・・明日にでも持って来ます」と、私が言うと「藤田・・・幸治さん・・・ですよね!月替わりですから、必ずお持ち下さい!」と看護婦さん・・・今は、看護師さん?。(近所で正体がバレバレだった!)
診察室・・・顔馴染みの先生。「久しぶりですね。どうされました?」と、笑顔の先生。「足が・・・」と、テーピングを巻いた足を先生に見せると「また、片町で悪い事でもしたんですか?」と、先生(おいおい、先生もか!)。
理由を話しレントゲン室で撮影となった私。若い女性のレントゲン技師が台の上に横たわった私に「はい、写しますから・・・・動かないで下さいね!」の言葉に「優しくしてね!」と、私が冗談を言うと、ガラスの向こうで・・・無視されていた。(おい、笑えよ!)
診察結果・・・「踵の骨に少し亀裂がありますね」だった。この暑くなる時期にギブスはもうこりごりの私。数年前に左足の靭帯損傷でギブスをして嫌気を経験していたのだ(だって・・・痒い!)。「先生!テーピングでお願いします。自分でも出来ますから!」と、私が嘆願すると「ん・・・・・無理をしないで下さいね!大事な箇所ですから」と、先生(助かった!)。処置としては、シップ&包帯でその上から固定用サポーター(取り外し可能)をはめた(もう・・・痒い!)。「おだいじに・・・!」と、看護師に見送られ病院を出た。
夕方、下校してきた次男(小6)が、「お父さん、高須の稲は大きくなったかな?」と、突然言い出した。「少しは延びたんじゃない!」と、私が言うと「見にいこうよ!」と、お願いされていまった(可愛い子どもの願いに・・・弱い!)。「じゃ、ついでに棚田の写真でも撮るか!」と、思った私。
足の痛さもあるがアクセルを踏むのには、余り支障がなく高須町に車を走らせたのだった。高須町に入ると、お昼の暑さもここでは少しの涼しさとなっていた。人影もまばらな高須町。いつもの、のどかな景色だった。農作業を終えて自宅に帰る途中のお婆ちゃんとすれ違った。「ご苦労様です!」と、言葉をかけると「は〜い」と、驚いたような顔で返事が返ってきた。
棚田からは綺麗な福井平野の景色が望める夕方の高須町。「九頭竜川の左の白い建物って・・・あれだよね!」と、次男。「そう、あれだよ!」と、私。(名前が出てこない!「ゆりの里」です!)
「お父さん・・・大きくなってるよ!」と、あぜ道をかけ降りマイ田んぼに向かった次男。小6だと言うのにまだまだ稲を見て喜んでいる次男に「写真を撮るか!」と車のデジカメを・・・・自宅に忘れていた私だった。(何しに来たんだろう!)
高須町を後に自宅に戻る途中、携帯が鳴った。田中先生からだった。「7時頃に川島さんが明道中に来られるのですが、藤田さんも是非に」とのお誘いだった。明日から川島アナは東京へ・・・出張だった。しかし、私は「先生、やはり足がダメなので・・・」と、お断りし、川島アナへの伝言を田中先生にお願いをして電話を切ったのだった。
夜8時過ぎ、再び田中先生から電話があった。そして、その内容だが・・・「藤田さん、川島さん今、帰られたのですが・・・川島さんも右足が肉離れだそうですよ!」と、田中先生。「はあ〜っ!」と、驚いた私。「じゃ、明日からの出張が大変じゃないですか?でも、・・・何で・・・肉離れに?」と、聞くと「何でも・・・高須城小学校で子どもたちと野球をしていて、その時に肉離れになったとか・・・」「そうですか!」「で・・・川島さんに、実は藤田さんも右足を怪我してるんです・・って言ったら、えっ!って驚いてましたよ!」と、田中先生(私と川島アナの右足の怪我、何かがある!)。川島アナ、明日からの東京・・・無理せずに頑張って取材に飛び回ってね!
世の中「クール・ビズ」だと言うのに、右足が「ホット!」と、なっている高須町関係者?の20才違いの男二人・・・だった。
△男の酒のつまみ・・・127
エリンギの炭火焼き
スーパーで最近少し安いエリンギ。意外と何にでも調理出来る食材だ。しかし、私は炭火で焼くのが一番・・・好きだ。少し、焦げ目が付いたところで、アツアツのエリンギを裂き・・・醤油と山葵で頂く。このエリンギのシャキシャキ感がいいのだ。マヨネーズ&醤油でも美味しいです。焼肉のタレでもOK!
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【六月の二/ひとりの日曜日】6月4日(日)
昨日の午後だが、私と田中先生の間で携帯電話やらメールやらと忙しくやり取りをしていたのだった。その内容は、当然この高須町のH・Pについてなのだ。「ここを、こうしましょう!」「いや、そこはこんな感じで・・・!」と、70万件を超えたアクセス数に嬉しいミニ会議となっていた。私の担当するこの「高須城日記」も三年目(実際は二年目)に入り、そろそろネタも尽きてきた(いや、まだまだ!)。「これは、高須城日記じゃなくて、藤田家日記だろう!」のご批判も(友人からの忠告!)・・・有難く・・・無視!しかしながら、「早く、次の日記作成者を探さなくては!」と、思い悩む夕方となっていた。
さて、久しぶりの完全休養日の日曜日となった本日だが・・・妻と次男(小6)は、昨日の午後から長男の住む(四月から)名古屋へ行っている。足の亀裂骨折で無理が出来ない私は、一人留守番となっていた。(たまの一人もいいもんだ!ウキウキ!)それにしても、足の痛さは中々、収まらずよって、私の行動範囲は限られている(2階の自室と寝室、それに横のリビングの往復だけ!あっ、トイレもだ!)。料理好きな私も、昨日からは近所の蕎麦屋からの出前やカップ麺がほとんどで・・・これもまた、懐かしい独身時代を思い出す事となっている。
昨日の夜の事だが、こんな時にかかってくる、片町からの友人による「夜のお誘い!」だが、・・・丁重にお断りとなっている(本当は・・・行きたい!)。
足の怪我以来、恒例となっていた早朝ジョギングもお休みが続き、何故か足の筋肉も中だるみの感じがしている。
朝6時過ぎ、テレビを付けるとニュース特報で「秋田県藤里町での小1男児事件」が大きな進展を見せていた。「33才の女性を任意で・・・」のスクープに「やっぱり!」と、頭の中でこの事件を整理した私だった。事件発覚後から「怪しいんじゃない!」と、言われてきた近所の女性(1ヶ月前に水死した小4女児の母親)だが、その反面では「まさか?」と言う声もあったのだ。
しかし、秋田県警能代警察署はその母親に任意であるが同行を求めたのだ。実家と自宅には警察による家宅捜査、逮捕を確実にするための物的証拠を挙げなければならない。目撃情報のあった「白い車」・・・男児に付着していた髪の毛と黒の繊維、このどれかが同一ならば犯人逮捕の有力な証拠となるのだ。眠気も完全に覚め、テレビの前から動く事が出来ない私(足が痛いのもある!)。この事件の進展の続報を待っていた。定時のニュースでは実家から自家用車で警察に向かう女性が映り、警察署に入る場面が報じられている。勿論、任意である為、顔にはモザイクがある。
そして、「※任意同行」のため、ここからは時間との勝負となる警察だった。
※任意同行・・・任意同行には、職務質問のための任意同行(警職法2条2項)と、捜査(取調べ・198条1項)がある。この場合、近隣の警察署や交番などに出頭するように求めるのだが、捜査のための任意同行の場合は、被疑者は逮捕状態ではないので、拒否しまた、同行後いつの場合でも退去出来るのである。
警察署内の取り調べ室では、担当刑事による事件関連の質問が開始されているはず。また、その一方では被疑者の弁護士による拘留時間の警察との問答が始まるのである。事件後、おそらくタイヤ痕や付着物など多くの証拠物を科研において調べあげている警察は、家宅捜査などによる押収物の中に犯人確証となる物を見つけるか、取調べにおいて被疑者が自白に応じるかが注目される事になった。「時間の問題だろう!」と、思う反面で「もし、違っていたら!」と、この朝のニュースを見ていた日本国中の人が感じていただろう。
その後、なかなか続報が入らない中、私はスポーツ新聞を読みながら一人優雅に・・・いや、一人寂しくコーヒーを飲んでいた。すると、テレビから聞き覚えのある声が聞こえてきたのだ。・・・・・FBC・川島秀成アナウンサーだった。この番組は「おはようふくい730」(日曜朝7時30分)だった。録画とは知りながらも「川島アナ、肉離れは大丈夫かな?」と、心配の私(お前もだ!)。新聞のテレビ欄を見ると、今朝の放送内容は「高校教育」と、書いてある。そう言えば、FBCの川島アナのコラムには「高校生と話す事が好き!」と、書いてあった。
まず、勝山高校からスタートした川島アナ。全国的にも強豪のバトミントン部を紹介した。続いては古くから進学校として知られる武生高校(少人数学級)を訪ねた。足羽高校では中国語&英語を紹介、川島アナも自ら生徒の中に入り、流暢の英会話を披露したのだった。最後には、中高一環教育の嶺南、美方高校に行き、全国屈指のボート部を紹介したのだった。県内にはそれぞれ独自のカラーを持つ高校が増えてきた近年、自らその校風や特色を発信して中学生の進路として誘わなければならない。川島アナは何人かの高校生にインタビューしていたのだが・・・女子高校生が多いと感じたのは・・・私だけだろうか。(まあ・・・いいか!)
正午近く、どの局ニュースでも秋田の事件を報道している。しかし、まだ「逮捕!」の言葉は出てこない。被疑者が警察署に入り、事情聴取が始まって6時間が経つ。任意同行から逮捕へ。被疑者から容疑者へと変わるのは、いつの事となるのかテレビからまだまだ目が離せない私。
そんな時、携帯電話が鳴った。発信者は・・・名古屋にいる妻からだった。
「もしもし」と、私が出ると
「もしもし、お父さん。僕だけど・・・」と、次男からだった。
「今ね・・・動物園にいるんだけど・・・孔雀が羽を広げてね、凄く・・・綺麗なんだ!」と、興奮している様子の次男。
「そう!・・・東山動物園に来ているのか?」と、聞くと
「うん!ライオン・・・キリン・・・熊・・・ペンギンがいるんだよ!」と、次男。
「そう、よかったね!」(動物園だから当たり前だ!)と、私。
「それでね、さっきモルモットを両手の上に乗せたんだよ、・・・可愛いかったよ!」と、興奮は収まらない様子の次男だった。
東山動物園・・・・・今から十数年前、長男がまだ幼い頃だが私と妻、そして長男とで行った名古屋の東山動物園。その時、動物を見る妻と長男をよそに、私は近くを歩くある女性に目を奪われていた。それは、女優の故・高峰三枝子(平成2年5月27日永眠)だった。大女優の風格と言うのだろうか貫禄がその歩く姿にはオーラがあった。大きな帽子、少し大きめのサングラスをかけ悠然と公園内を歩いていたのだった。
電話の向こうからは、次男の嬉しそうな声が聞こえてくる。
「あのさ・・・動物を触ってもいいけど・・・ちゃんと手を洗いなさいよ!」と、私。動物園の動物だから大丈夫だろうが、万が一、感染して病気などにならないとも限らない事を心配した私。「あんまり・・・触るなよ!」と、次男に言ったのだった。「うん!・・・でも可愛いいよ!」と、私の言葉を聞いているのかいないのかの次男。「じゃあね!」と、電話を切ってしまった。
同じA型の私と次男。(妻と長男はB型)虫嫌いの私に似ず、どういう訳か臆する事なく何でも触る次男だが・・・それはそれで・・・いいことだろう!高須町でも蛇を見て立ち止まる私を他所に、その蛇を捕まえようとする次男(誰に似たのか?)。次男からの電話だが、何時に帰るのか聞く事を忘れていたのだった。(まあ・・・いいか!)
秋田の事件もその後、進展が見られずテレビと新聞を交互に見ていた私だった。すると、どの新聞(3紙)にも同じ話題が掲載されていた。「渦中の六本木ヒルズで田植え」(中日スポーツ)、「ヒルズ族親子、コシヒカリ田植え」(日刊県民福井)、「ヒルズに響く田植えの歓声」(福井新聞)だった。
ふくいを代表するお米「コシヒカリ」が記念すべき生誕50年を迎えた今年、東京の話題のスポットとなっている六本木ヒルズの中の一棟、「けやき坂コンプレックス」(商業棟)の屋上で、3千株のコシヒカリの苗がこのヒルズの住民家族やテナント従業員、や近隣住民の手によって植えられたのだ。「きっと、川島アナも取材に行ってるだろうなあ!」なんて思いながらこの記事を読んでいた私だった。(東京の有名なビルの屋上での田植えを生で見たい!)
夜7時、ニュースでは秋田の事件が報道されているものの、逮捕には至らず、事情聴衆も12時間が経っていた。未だ、被疑者からは自白はなく、拘留処置がどうなるかが注目されている。自室のテレビを2面にして、ニュースと「巨人対西武」で楽しんでいると、携帯が鳴った。妻の携帯からだが再び次男の声がした「お父さん・・・今・・・養老。ここでラーメンを食べて帰るから!」と言い、切れてしまった。
「俺の晩飯は?・・・」と、今度はこちらから携帯を鳴らした。「お母さんに福井に着いたら、コンビニでお弁当を買って来るように言って!」「うん、わかった!」通話時間16秒の福井、岐阜間だった。
8時、最近気に入りの大河「功名が辻!」を見る。いよいよ来週に迫る「本能寺の変」。信長、光秀、秀吉、家康のそれぞれの思いが面白い。主人公である千代と一豊の揺れる心情も面白い。大石静の脚本が人気のこの大河ドラマだが、私は一つ不満がある。それは小りん(長澤まさみ)が先々週で取りあえず終了した事だ(毎週・・・見たい!)。そうそう、この大河ドラマだが田中先生のお嬢様(高1)