藪こぎ後談
若狭・小浜市にある久須が岳には観光道路「エンゼルライン」がある。
このエンゼルラインは今年(平成14年6月)まで有料道路であったが現在は無料となっている。
エンゼルラインの山頂近くから名勝「そとも」に下る山道がある。
山登りには珍しく行きが下り、帰りが登りの行程となる。
これまで有料道路のせいかあまり行く人もなくとり付きは藪こぎとなる。
このコースを山登り仲間と6月半ばに計画した。
計画した私は急用の為、直前にキャンセルし4名が参加した。
一部道に迷ったらしいが、計画どおり皆無事帰還した。
しかし同行したU君には後日談がある。

U君は40歳半ばまさに中年である。
山行から2,3日して風呂あがりに胸にホクロを発見した。
中年になれば体にシミ、そばかす、ほくろ等も目立つようなる。この時は
まったく気にしなかった。
翌日、ほくろの廻りに毛がはえているのを発見する。
どういう訳かほくろの廻りに毛がはえることはよくあることで
この時も気にしなかった。

次の日、U君は衝撃的な発見をする。
なんと、ほくろの廻りの毛が動いているのである。
うろたえたU君は思わずほくろなるものを引きちぎったのである。
ほくろの正体は山ダニであった。

下山後、帰宅途中サウナで汗を流したそうであるが、その熱さにも
耐えたのであろうか。4,5日間たっぷりU君の血を吸った山ダニは吸い口を
U君の体内に残し昇天した。
念のため病院にいったが、山ダニの吸い口を除去する為1針縫う手術が
施された。

夏の藪こぎは注意が必要である。
休憩時など靴下やズボンなどにあがってくるダニを見つけることがあるが
胸まであがったことは聞いたことがない。
これが背中であったら、山ダニは見つからずもっと何日も生きたかもしれない。
夏の藪こぎ後は風呂あがりにでも鏡で全身を確認したほうがよい。
鏡より肉眼で確認してもらうのがベターであることに違いない。