PICASSOの絵

大阪での会議が終わって大阪駅で汽車を待っているとピカソ展がデパートで開
かれていた。汽車を遅らせ、見てみた。2百点の大展覧会だった。とりわけ、私
の眼を引いたのは、あまり紹介されることの少ない晩年の作品だった。「ゲルニ
カ」で知られるピカソのイメージとは少し違う女性性へのあくなき欲望と来るべき
死との闘いが赤裸々に描かれていた。生への執念に、天才ピカソの実像を見た
気がした。


「タヴィテとバテシバ」 1949 68才 
豊潤な女性を上から覗き見つめるピカソ


「女性のヌードとタバコを吸う人」 1968 87才
「タバコを吸う人(ピカソ)は髭をはやし、やつれて、不具で頭が前にかしいで
いる。ヌードのモデルがピカソのアトリエ入ろうとするところ。二人の目の合わ
せ方と手の触れかたは、絵を描くという行為が性の代用になっている。ピカソ
はその心を我々に率直に漏らしている。…絵を描くことで迫り来る死を回避し
ている。この絵はまだ彼が生きているということの証である。」(インゴ・F・ヴァ
ルター)