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連結納税制度を創設することとし、次の措置を講じます。

 基本的な考え方

企業グループ内の各法人の所得と欠損を通算して法人税を課税する仕組みです。
連結納税制度の創設は、企業の組織再編成を促進し、わが国企業の国際競争力の維持、強化と経済の構造改革に資することになります。

 適用法人・適用方法

適用法人:内国法人である親会社とそのすべての100%子会社
連結納税制度の適用は選択制とし、国税庁長官の承認を受けるものとします。
 また、一旦選択した場合には原則として継続して適用するものとします。

 連結所得金額及び連結税額の計算

連結所得金額や連結税額は、連結グループ内の各法人の所得金額を基礎とし、所要の調整を加えた上で、連結グループを一体として計算します。
その上で、連結税額を連結グループ内の各法人の個別所得金額または個別欠損金額を基礎として計算される金額を基にして連結グループ内の各法人に配分します。

 連結所得金額・連結税額の計算に係る諸制度の取扱い

連結グループを一体として要件の判定や計算などを行うことを基本としつつ、制度の趣旨や技術的な観点も踏まえて、措置を講じます。

 租税回避行為の防止

多様な租税回避行為に適切に対応するため、包括的な租税回避行為防止規定などを設けます。

 適用関係

連結納税制度については、平成14年4月1日以後に開始し、かつ、平成15年3月31日以後に終了する事業年度から適用になります。

 連結納税制度の創設に伴う租税措置

連結納税制度の創設に伴う税収減に対応するための財源措置(連結納税制度の仕組みの中での措置(連結付加税など)や課税ベースの見直し)を講じ、2年後において改めて財源措置の見直しを行います。


 同族会社の留保金課税の軽減など

試験研究費及び開発費の合計額の収入に対する割合が3%を超える一定の中小企業を留保金課税の不適用措置の対象に加えます。
中小法人に係る留保金課税の税額については、5%軽減します。

 交際費などの損金不算入制度の定額控除限度額の引上げ

資本金1,000万円超5,000万円以下の法人に係る定額控除限度額を400万円(現行300万円)に引き上げます。

 取引相場のない株式などについての相続税の課税価格の減額措置

個人が相続などにより取得した一定の取引相場のない株式などについて、相続税の小規模宅地等の特例などとの選択制で、相続税の課税価格を10%減額する措置を講じます。
(平成14年1月1日以後に相続などにより取得する財産について適用)


 障害者などに対する少額貯蓄非課税制度への改組

老人などの少額貯蓄非課税制度(老人マル優制度)を、障害者などに対する少額貯蓄非課税制度に改組します(平成18年1月)。
障害者などに該当しない方については、
 
平成14年末において65歳以上になっている方は、同年末に設定されている
  非課税枠の範囲内で、平成17年末まで制度が存続します。
 
平成15年1月以降65歳となる方は、非課税制度の対象となりません。

 特定口座内の上場株式などの譲渡に係る所得計算および申告不要の特例の創設

特定口座内の上場株式などの譲渡による所得金額の計算は、その特定口座外の上場株式などとは区分して行うこととします。
特定口座内の上場株式などの譲渡による所得については、選択により、源泉徴収の上、申告不要とすることができます。

 新株予約権制度の施行に伴うストック・オプション税制の拡充

ストック・オプション税制について、適用対象者の範囲を拡大するとともに、新株予約権の行使に係る権利行使価額の年間限度額を1,200万円(現行1,000万円)に引き上げます。

レポ取引の非課税制度の創設

外国の金融機関が国内の金融機関との間で行う一定のレポ取引(債券の買戻または売戻条件付売買取引)について、取引から生ずる利子を非課税とする制度を創設します。

■自己株式(いわゆる「金庫株」)の処分による譲渡益・譲渡損に相当する金額は、資本積立金額の増加・減少金額とします。


 土地・住宅税制

一定の要件を満たす中高層の耐火建築物とその敷地を一体として取得した場合には、所有権などの移転登記に対する登録免許税の税率を1,000分の25(本則1,000分の50)などに軽減する措置を講じます。

住宅ローン減税の対象となる増改築などの範囲に、地震に対する安全基準に適合する一定の修繕または模様替えを加えます。

 環境・福祉への配慮

再商品化設備等の特別償却制度について、廃木材乾燥熱圧装置、食品循環資源油脂化設備や食品循環資源メタン化設備などを対象設備に加えるほか、所要の見直しを行った上、制度の適用期限を2年延長します。

障害者対応設備等の特別償却制度の適用期限を2年延長します。

個人が相続などにより取得した一定の山林(立木及び林地)について、相続税の小規模宅地等の特例などとの選択制で、相続税の課税価格を5%減額する措置などを講じます。
(平成14年1月1日以後に相続などにより取得する財産について適用)

自動車リサイクル法(仮称)の制定などに伴い、マニフェスト(仮称)により使用済み自動車が適正に解体処理されたことが陸運支局長等により確認された場合に、車検証の有効期間の残期間に相当する自動車重量税額を還付する措置を講じます。
(注)自動車リサイクル法などの施行時期と合わせて実施。

 沖縄の経済振興などに係る税制上の措置

金融業務特別地区(仮称)内において新設された法人のうち、専ら同地区内で金融業または金融関連業務を営むものであって常時使用する従業員が20人以上であることなどの要件を満たす認定法人については、その設立後10年間、同地区内で営む金融業または金融関連業務から得られた所得について、100分の35の所得控除を認めます。
(所得控除額は金融業務特別地区内における人件費の100分の20を限度とし、投資税額控除制度との選択適用)

その他、特定情報中枢機能振興地区(仮称)の創設、産業総合振興地域(仮称)の創設、観光振興地域の要件緩和などの措置を講じます。

 その他

2005年日本国際博覧会出展準備金(仮称)制度を創設します。

全国新幹線鉄道整備法において新幹線鉄道大規模改修引当金(仮称)が義務づけられることに伴い、新幹線鉄道大規模改修準備金(仮称)制度を創設します。

公益法人等の収益事業に係る課税について、私立大学等が他の者の委託に基づいて行う研究に係る一定の事業を請負業の範囲から除外します。

真に必要な措置を講ずる一方、課税の適正化の観点から整理合理化を行います。
   
平成14年度の税制改正(内国税関係)による増減収見込額 (単位:億円)
改 正 事 項 平 年 度 初 年 度
1.連結納税制度    
 (1)   連結納税制度の創設
△7,980 △5,680
 (2)   連結納税制度の仕組みの中での措置
   
   (A) 連結付加税の導入
+1,030 + 730
   (B) 連結子会社の連結前欠損金の持込み制限
+ 480 + 170
   (C) 創設当初の加入子会社等の適用時期の特例
+2,110 +1,500
   (小計 (A)(B)(C) (+3,620) (+2,400)
 (3)   課税ベースの見直し
   
   (A) 受取配当の益金不算入制度の見直し
+ 820 + 610
   (B) 退職給与引当金制度の廃止
+3,240 +2,350
   (C) 旧特別修繕引当金制度の廃止
+ 110 + 110
   (小計 (A)(B)(C) (+4,170) (+3,070)
     計 △ 190 △ 210
2.中小企業関係税制    
 (1)   同族会社の留保金課税の軽減
△ 100 △ 40
 (2)   交際費等の損金不算入制度の定額控除限度額の引上げ
△ 130 △ 40
 (3)   取引相場のない株式等の相続税の課税価格の計算の特例の創設
△ 40 △ 20
    計 △ 270 △ 100
3.その他    
 (1)   企業関係租税特別措置の改正
+ 190 + 180
 (2)   その他
△ 100 △ 40
    計 + 90 + 140
合   計 △ 370 △ 170

(注)1 .連結納税制度の創設に伴う税収減については、「3.その他(1) 企業関係租税特別措置の改正」による増収も含めると、平年度0億円、初年度△30億円の減収と見込まれます。
. 連結納税制度は、平成14年4月1日以後に開始し、かつ、平成15年3月31日に終了する事業年度から適用することとしているため、初年度の計数は平成15年3月期決算法人に係る減収額を計上しました。なお、連結納税制度の創設による減収額の初年度(△5,680億円)と平年度(△7,980億円)の計数の差額分(△2,300億円)の影響は翌年度に生じます。  

このパンフレット(平成14年1月財務省作成)は、「平成14年度税制改正の要綱」(平成14年1月17日閣議決定)を分かりやすくまとめたものです。平成14年度税制改正については、国会の審議を経て、関係法律が成立した後に実施されます。

(注)各改正の適用要件等の詳細については個別にご相談ください。

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