アイロン戦争
我が家は、決してクレーマー(文句言い)ではない。しかし、物を買ってそれが悪ければ、メーカーや販売店にはっきりと言い、泣き寝入りはしないことにしている。その一例としての「アイロン戦争」(笑)を紹介しよう。
#######先ず、4月20日の日記から#######
何年も使ってきたスチームアイロンが水漏(も)れを起こすようになったので、新しいアイロンを買うことになった。と言っても、カミさんがナショ○ル社の新製品を選んで、町内の家電販売店に注文したのだが。
さて、そのアイロンが届いたとき、その小振(こぶ)りさと軽さ、使い良さに、カミさんは、
「何でも、ドンドンと良くなっていくんですね。」
と喜んでいたものである。
処が、暫(しばら)く使っている内に、持ち手の前のスチームボタンの先に有る小さな穴から、内部で温(あたた)まったお湯が漏れ出て、手にかかったりアイロンがけしているワイシャツなどの上に落ちるのだそうな。
そんなお湯が出るのは危険なことだし、洗濯物が濡(ぬ)れるのも変な話である。
そんな訳でカミさんに頼まれ、Eメールでナショ○ル社に問い合わせてみたところ
「メールよりも電話で状況をお聞きしたい。」
ということで、電話がかかってきた。
担当の女性の言うには、
「小さな穴の下にはスチーム用の水タンクが有り、
スチームボタンを押すと温められたお湯が出るが、
水タンクは真空状態なので、空気を入れないと
スチームが出ないので、その為の空気穴である。」
「その小さな穴はパッキンで水漏れしないようになっているが、
アイロンを前下がりにしたり、しゃくるように動かすと、
穴の中にお湯が入り込むことがある。」
「この新しい製品で、こういう苦情を聞いたことがない。
工場でも、特別な使い方をしない限り、
そういうことは滅多に起きないはず、と言っている。」
という説明であった。
私は、
「貴女の言い方だと、カミさんのアイロンの使い方が
悪いみたいに聞こえるが、私が観ていても、
カミさんのアイロンのかけ方がおかしいとは思えない。
誰もがやっている普通の使い方だとしか思えない。
それでもお湯が漏れるという事実があるのだから、
対応を考えてほしい。」
と担当の女の人に言った。
すると、
「工場で水漏れテストをして水漏れがないと確認出来た
アイロンを送るので、今使って居られるアイロンを
工場に送ってほしい。そこで確認したいから。」
ということになった。
さて、送られてくるアイロンは大丈夫なのかな???
#######4月21日の日記から#######
カミさんに、
「ナ○ョナルの苦情担当の女の子に、
お前のアイロンの使い方が悪いような言い方をされたぞ。」
と伝えたら、もうすっかり御立腹(ごりっぷく)で、何時(いつ)もナショナ○の製品を買っている町内の店主に苦情を訴えると言っている。
確かに、我が家はO市にある家電量販店でパソコン関係や家電製品を買うが、日常品の多くは町内の家電屋さんで買っている。
そこは、製品の調子が悪いと夜でも診に来てくれたり、他メーカーの製品でも診てくれたりするので、その親切さが嬉(うれ)しくて、量販店よりも売値が高くても品物を買ったりしているのだが、
「その販売店の努力を、メーカーが傷つけているようなものだ。」
と、カミさんが怒(いか)っているのである。
私もカミさんの肩を持つつもりで言うのではないが、実際にお湯が出て来るという現象が起きるのに、昨日の日記に書いたような言い方は、客である消費者には失礼な言い方だよね。
しかしまあ、客からの苦情に対応する担当者も、御苦労さんには違いない。きっと、神経がささくれ立ってくるだろうね。大変な仕事だこと。
#######4月22日の日記から#######
我が家のアイロン騒動(そうどう)を知った人が教えてくれた。
「0120-***-****のフリーダイヤルで苦情受け付けしている女性は
訓練は受けているので受け応えもそつがないが、親身(しんみ)に欠ける。
それに女性なので感情的になりやすく、真剣に喧嘩したことがある。
お金がかかっても、正面から行った方が良いかもしれない。」
ということだそうな。そうかも知れないね。
さて、ナショナ○から交換用のアイロンを送ってきた。持って来た宅配業者が、我が家で使っていたアイロンを変わりに持って帰った。
新しく届いたアイロンは、大丈夫だろうかね。又、持って帰ったアイロンは、工場でどんな現象をおこすのだろうかね?
#######4月24日の日記#######
空気取り入れ穴からお湯が飛び出すアイロンの代替え品が、ナショナル社から届いた。これは、工場で、念入りにチェックした物らしい。
さて、カミさんが使ってみると、
・頻繁(ひんぱん)にスチーム用の水を吸い上げない。
・何時までも沸騰(ふっとう)状態が続かない。
など気になることが無くなり、問題があった物と違うという。
送られてきたアイロンは、流石(さすがに)に工場で念入りにチェックした物だけあって、水漏れも起きず、おまけにスチームが強力でスーツの皺(しわ)もすっきり伸びるので、カミさんは大満足していた。
#######6月1日の日記#######
カミさんが大喜びで使っていたアイロンが、突然、ボトボトといった感じで水漏(も)れを起こした。チョロチョロではなく、ドボドボである。
そこで、町内のナショ○ル店のお兄さんに頼んでそのアイロンを持って帰ってもらい、代わりの貸し出し用アイロンを貸してもらった。
さて、お店のお兄さんは、T市に有る修理センターに届け調べてもらったのだが、試しても試しても水が漏れなかったそうな。そして、修理センターの人が、
「これ、水漏れしないやん!」
とテストを止めようとした間際に、ドボドボと水漏れしたのだそうな。そこで、そのアイロンを工場に送って検査をしている最中なのである。
そんな訳で、やっとのことでカミさんの主張がメーカー関係者に分かってもらえたようなのである。
しかしまあ、今、三菱ふそうのトラブル隠し・故障隠しが問題になっているが、このアイロンもこんなに水漏れが続くなんて、欠陥商品じゃないのかなあ。
ナショナルさんの誠実で徹底的な検査をお願いしたいものである。
#######今日(6月24日の日記)#######
町内の販売店の兄さんから電話がかかってきて、
「メーカーのナシ○ナル大阪工場の人が、交々さんのところに謝りに来たいと言ってます。
・何故、アイロンの水漏れが起きたかを説明したいし、
・苦情相談窓口の女の子の対応も謝りたいし、
・三菱自動車のように不良品隠しをしている訳ではないことも分かってほしいので。
ということだそうです。」
と、カミさんに伝えたそうな。カミさんは、
「わざわざ来てもらわなくても良いです。」
と言ったのだが、何が何でも来ることになったそうである。
これで、アイロン戦争は終了するのかなあ。もういい加減嫌になってきているので、早く幕引きをしたいものである。
#######7月01日の日記から 戦争終結#######
とうとう本当に、大阪からパナソニックのカスタマ(顧客・得意先)サービスチームの1名とナショナルのアイロン設計グループから1名が、町内の電気屋さんの案内で、アイロンを持って訪ねてきた。
そして、何故、水漏れが起きたかの説明をしてくれた。
その説明によると、アイロン本体をコンパクト化させたことによって、本体内に吸い上げた蒸気用の水面と通気用の穴の距離が近づき過ぎ、蒸気室が狭くなってしまったこと等が原因となって、パワーショットボタンを押して圧が掛かった時、水滴化したものが穴から出てくるようになったようである。
そこで、内部の小部品の位置や穴の位置を変更して改良しようとしたが、それはそれで不都合が起きるため、今のままの製品で、使い方に工夫をしていただきたいということだった。
どんな工夫かというと、
「パワースチームボタンを押す時は、レバーをドライに切り替えておいて押すこと。」
というようなことであった。
このアイロンは、水漏れが起きる以外はとても優れた物で、軽いし、戻り皺(しわ)も起きないし、何よりもスーツなどをハンガーに吊したままで皺をしっかり取れる「ハンガーショット」が素晴らしく、カミさんも気に入っていた。
だから、気持ちの上で納得さえすればこの製品を使っていくことに文句は無かったので、結局はそうなった。
しかし、最後にもう一つミス(?)が。
と言うのも、我が家が購入したアイロンはグリーン色だったのに、新しく持ってきた物はピンク色だったこと。
向こうは慌てて
「早急に取り替えます。」
と言っていたが、カミさんが、
「娘も使うので、ピンクでも良いです。」
と庇(かば)っていた。
だって、大阪からはるばると来て、この暑い中を背広を着たまま謝っているんだから、もう色なんかどうでも良いよね。