#001 日米地位協定
2001年6月29日、沖縄駐留アメリカ空軍軍曹が、20代の女性を婦女暴行したという事件が発覚。その軍曹の身柄はアメリカ軍が拘束しており、沖縄県警は、任意同行の形で事情聴取を行っている。何故任意同行なのか?何故逮捕しないのか?
そこには、多くの日本人が怒りと不合理を感じる「日米地位協定」なるものが有るからである。
日米の間には安全保障条約が結ばれており、日本はアメリカ軍によって他国の武力から守られている形にある。分かりやすく言えば、その御礼として、アメリカ軍への色々な配慮を取り決めたものが、「地位協定」であり、1960年に結ばれている。
地位協定は28条から成るようであるが、主なものを簡単に書き上げてみると、
@日本は、アメリカ軍に施設や場所を提供すること。
Aアメリカ駐留費用の一部を日本が負担すること。(思いやり予算)
Bアメリカ軍に対する税金免除などの配慮をすること。
Cアメリカ軍兵士やその家族の身分を保障すること。
などが見られる。
この地位協定があるため、日本国内で犯罪を起こしたアメリカ軍兵士を、日本の警察は逮捕できないのである。なぜなら、日米地位協定には17条に
「日本国が裁判権を行使すべき合衆国軍隊の構成員または軍属たる被疑者の拘禁は、
その者の身柄が合衆国の手中にあるときは、日本国に公訴が提起されるまでの間、
合衆国が引き続き行うものとする」
とあるためなのである。
アメリカ軍兵士の犯罪が続発し、沖縄県民を中心とする怒りの声が高まる中で、日米両政府は
「殺人、婦女暴行、その他の特定の場合に限って起訴前の身柄引き渡しに考慮を払う」
という運用での改善を行うと決めたが、実際は、アメリカ軍が身柄引き渡しを拒否する場合が多く、アメリカ軍駐留そのものを無くさない限り、本質的な解決にならない、という考えも高まっている。