脳梗塞の人の碁はどうなる?H/17.10/31(mon)

囲碁を打つ時に、いかに右脳を使っているものか、私はひょんなことから実感したことがある。
それは脳梗塞のために右脳に障害を持った人と碁を打った時のことである。

ある碁仇が脳梗塞で倒れたが、幸いなことに軽い症状で、退院し自宅でリハビリ中のことである。
碁を打ちたいと云うので相手をすることになった。
左手が使えないので右脳にダメージを受けていることは明瞭であった。

この人は力碁で、左脳だけをしか使かわないのではないかと思うような碁を打つ人だった。
そのため右脳に少々のダメージを受けてもあまり関係ないだろうと予想していた。
ところが実際に碁を打ってみたら、私の予想は見事にはずれたのである。

この人との一戦であるが、一応の布石が終わって局部戦が始まった。
彼はびっくりするほど正確に応じてくる。
私は驚くやら、うれしいやら、脳梗塞を経ても、こんなにきちんと碁を打てるものかと、感心した。

さて、攻め合いだが、私は現在攻め合っている数個の石を捨て、もっと大きな所に先着することにした。
以前の彼なら、私が捨てた石には目もくれず、対抗して自分も大場に打つハズである。

ところが彼は私が捨てた石を、何手もかけて取りに来たのである。
私は正直びっくりした。

右脳に障害を受けると、これほどまでに全体的な判断が出来なくなるものかと。
倒れる前の彼の実力を良く知っているので、本当に意外であった。

これがもし左脳だったら、部分戦が下手になり、ボロボロになってしまうだろう。

案内人:
私が通っている碁会所でも、ここ2、3年の間に4人の人が脳梗塞で倒れました。
内、2人は完全に回復して後遺症もありません。
倒れる前と少しも変りません。相変わらず辣腕を振るっています。

後遺症で右腕が使えなくなった人もいます。
中盤過ぎるあたりまでは憎らしいほど強いのですが、終盤になりますと信じられないようなポカを連発します。
左脳に障害が残ったため、現実的な処理が巧く出来ないのだと思います。

右脳、左脳の話は、まんざらウソではないようです。