まずは、消防の広域化を取り巻く状況を説明します。

@多様化・大規模化する災害に対応できる消防体制を整備・確立するために平成18年6月14日に「消防組織法の一部を改正する法律」が公布・施行されました。
Aこれを受けて、同年7月には消防庁長官を本部長とする「消防広域化推進本部」が設置されました。
B平成24年度末までに全国各地の消防本部の統合を目指す方針が打ち出されています。
Cこれを受けて、福井県は平成19年度末に県内を3消防本部 に統合する消防広域化推進計画を策定しました。

県が示した「県内3消防本部」とは、現行の県内9消防本部を
(1)嶺北
(2)丹南
(3)嶺南
の3つに統合するというプランです。

 まず、誤解を招くといけないのでこれだけは強調しておきたいのですが、消防広域化によって
 @勝山消防署がなくなることはありません。
 A消防職員が削減されることもありません。

 @について説明いたしましょう。基本的に「消防本部」と「消防署」は次元の異なるものです。福井市では福井消防本部の下に「中消防署・東消防署・南消防署・臨海消防署」の4つの消防署があります。ちなみに、勝山市の消防は勝山消防本部の下に勝山消防署があります。消防本部の統合とは、この「福井消防本部」と「勝山消防本部」を合併して、ひとつの消防本部にしようというもので、消防署の統合とは異なります。
 この点、警察署の統合と混同される方もいらっしゃろうかと思いますので、ご注意ください。今年の4月から丹生警察署は鯖江警察署に、今立警察署は越前警察署に統合されました。警察の場合、もともと「福井県警察本部」はひとつしかありません。今回の消防の広域化は「本部の統合」であり、「消防署」の統合ではないのです。
 もちろん、「消防本部の統合の先に消防署の統合がない」とは断言できません。しかし、警察と消防では意味合いが異なります。統合された丹生警察署・今立警察署では分署として、被害届の受理や交通関係の許認可事務・相談業務は継続されていますが、消防署ではこういうわけにはいきません。

Aについて。今回の消防本部統合は行財政改革の一環ではありません。したがって消防職員の削減もありません。



今回の統合によるメリットは確かにあります。

まず第1に、広域での消防活動が可能になる点です。

 勝山で火災が起きたとしましょう。この火災が、大きなものであった場合、現在の体制では、他の消防本部に応援要請をしなければ、他消防本部は動くことができません。統合された消防本部ならば、火事の規模によって「A消防署から○○台、B消防署から○○台出動せよ」と迅速な対応が可能になります。
 第一戦で火災と闘っている消防職員の方にお話を伺うと、「この差はとても大きいです」とのこと。1分1秒を争う火災の初期消火では、この違いは確かに大きいのでしょう。
 また、勝山市内でも、例えば北郷町くらいになると上志比消防署(現:上志比分署)から消防車が来た方が早い場合があります。 こういった点も広域のメリットといえるでしょう。
 さらに、現在のように「ひとつの消防本部から△△へ出向せよ」といった人員配置の問題もクリアできます。




では、デメリットを。

 何と言っても、消防本部を統合することになると「人事権と予算権」がこちらの手を離れます。これは大きな問題です。予算については、消防本部が統合されると、勝山市に対しての負担金が発生します。この負担金を市町から集めることによって消防本部の予算がまかなわれることになりますが、集めた予算の配分に関しては消防本部が決めることになります。つまり、勝山市の意向が通るか通らないかが全くの不透明になるということです。
 また、広域化に伴って人事の配置が問題になってきます。現行の勝山消防署の職員の方々は、勝山市内の隅々までを熟知しています。ところが、ここに「三国出身で、勝山市は初めて来るのです」といった職員が配置された場合はどうなるのでしょうか。もちろん、こういった人員配置については統合後の消防本部も配慮はするでしょうし、現在のシステムでは固定電話から消防署に電話すると、その位置が地図上で示されて、なおかつ消防車にも同じ画面が映るようです。
 しかし、人事権と予算権という2大権が移ってしまうのは、正直不安な面はあります。





 さて、そういった状況の中で、平成19年度末。つまり、今年の3月末に福井県は消防広域化推進計画を出しました。しかし、これは妥協の産物といった様相を呈しています。

 実は、県内の市町の首長たちがこのプランに猛反発したのです。

 元々、福井県が提示したのは「消防本部2案」でした。つまり、嶺北でひとつ、嶺南でひとつの消防本部に統合しようというものだったのです。これに反発したのが奈良俊幸越前市長だと聞いています。その意向を汲んで3消防本部にしたと・・・。「ならば、奈良市長は消防本部統合に賛成なのか?」と知り合いの越前市議会議員に聞くと「いや、そうじゃない。うちの市長も統合には反対なんだ。ただ、どうしても統合するというのなら、嶺北でひとつというのが納得いかなかった」とのこと。
 坂井市をはじめとして様々な市町が反対する中、県としても「国の手前、何としても平成19年度中に計画をまとめなければ・・・」といったところがありありと見て取れました。

 したがって、極論すると、今回の広域推進計画で決まったものは何もありません。「3つに消防本部を統合する案」もまだ叩き台のひとつなのです。言うなれば市町村合併において、県が「こういったプランで進めてみてはどうか?」というプランを提示してきたようなものです。



 以上が、現在の状況です。

さて、これらを踏まえて以下のことを押さえておきましょう。
 @国の方針は「平成24年度末までに消防本部の統合を進めて欲しい」とのこと。
 A統合の話し合いは、勝山市議会とは別の場所で話し合われること。
 B最終的な統合の決議は、勝山においては市議会でなされること。
もちろん、統合を進めるに当たっては、勝山市長・勝山消防本部長(松山副市長)・勝山消防署長が参加する場が設けられるのは当然です。しかし、基本的には市議会とは無縁の場所で話し合いは進められ、最終的な決議だけ市議会にもってこられるというパターンになります。

・・・これが、一番こたえるんですね。市議会としては。議案としていきなり出されて「賛成か?反対か?」と二者択一を迫られるのです。反対しようにも、「勝山市だけが参加しないのか?」と言われてはどうにもなりませんから。


勝山市議会の中に総務文教委員会があります。市議会では、この委員会が消防行政を所轄することになっています。その委員長として、私は広域化の議論が進むたびに遅滞なく委員会に報告してもらうよう強く要望しています。


進捗状況等については、またこのHPでご報告いたしたいと思っています。

 
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