Q1.社長が留守だというのに居座られる
A.   
このような場合、来訪者の言動にことさら怯えたり、困惑している態度を見せるとかえって相手を調子づかせることにもなります。落ち着いて対応することが大切です。 
1.受付担当者の応対
(1)人物の特定
 相手方から名刺をもらってください。名刺を出さないときには、住所、氏名、連絡先をきちんとたずねメモしてください。その後、受付担当者ら数名が出て、「社長は外出中なので私どもが替わって用件をお伺いさせていただきます。と応対すればよいでしょう。

(2)退去要求
 いきなり、社長に会わせろと言われても、会わせる必要はありません。彼らがことさら粗野な言動を用いて嫌がらせを繰り返せば、会社側としては、毅然とした態度で退去を要求すべきです。この際、脅しや嫌がらせの言葉は正確にメモしてください。これでも退去しなければ不退去罪に該当します。110番で警察に通報して現場の平穏を回復することも1つの方法です。

2.応対時の留意事項
(1)相手の挑発に乗ったり、また挑発しないこと
(2)侮らず、油断しないこと
(3)必要以上に怖がらないこと
(4)金員で解決しようとしないこと
(5)「考えさせてもらいます。」等期待させる発言をしないこと
(6)「詫び状」等を書かないこと

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Q2.脅しのテクニック
A. 
1.脅しのテクニック
(1)恐怖心扶植戦術
 「暴力団は怖い」というイメージを利用して、直接的な暴行、傷害をなるべく行わずに、巧妙に恐怖心を植えつける手口です。テクニックとしては、「組のメンツがつぶれた」「組の若い者が黙ってはいない」等の脅し文句を言ったり、暴力団の代紋、肩書きの入った名刺を出す、入れ墨や詰めた小指をちらつかせる、突然に大声を出すなどの手口があります。

(2)頭脳混乱戦術
 失言や言葉尻をとらえて長時間居座ったり、早朝や深夜に自宅に電話したりして、応対者を精神的、肉体的に疲れ果てさせ、「何とかこの状況から逃れたい」という心理状態に追い込む手口です。

(3)嫌がらせによる日常業務の妨害戦術
 事業者が言いなりにならない場合には、忙しい時間帯に面会を強要したり、会社に押しかけ、社内をうろついて大声をあげたり、社員や出入り業者を冷やかしたりして嫌がらせを行い業務妨害する手口です。

(4)脅し役となだめ役の分担作戦
 複数でゆすりにくるときには、分担が決められています。脅し役は大声で怒鳴ったり、厳しい言葉で企業を責め立て、なだめ役は脅し役を時折なだめるようなことを言いながら、最終的には金を取り立てようとするように、芝居する手口です

2.必要以上に怖がらない
 暴力団の手口には、このほかにも様々なものがありますが、日頃から暴力団の動向や手口の傾向等を把握しておくことは暴力団員と応対する事前の準備として大変重要なことです。また、暴力団も警察に逮捕されることを恐れて、よほどのことがない限り暴力は振るわないと考えてよいでしょう。暴力団と応対をする場合、ある程度の恐怖を感じるのはやむを得ませんが、必要以上に恐れないことが大切です。

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Q3.新聞ゴロ(暴力団員)に脅かされる
A.
会社も人の集団ですから、多少の弱みはあるものです。暴力団や新聞ゴロと言われている連中は、こうした弱みをかぎつけて、これをネタに脅し金銭を要求してきます。このような場合、不必要に信用を重視するあまり、初めから軟弱な対応をしてしまうと、彼らの思うつぼにはまってしまいます。
1.不名誉な事実の確認
 まず、彼らがやり玉に挙げる「不名誉な事実」の確認をすることです。多くの場合はこういう事実を誇張したものがほとんどです。彼らの言っていることがどこまで真実か、会社内でしっかり究明して事に当たることが肝心です。

2.不名誉な事実に対する適切な措置
 不名誉な事実があるのであれば、会社も勇気を持ってその事実に対し、まず適切な措置をしておくべきです。不名誉な事実であっても会社が適切な措置をしておけば、もし公表されても会社の信用を大きく損なうことはありません。不必要に恐れることなく冷静に対応してください。

3.法的に対応
 不名誉な事実を公表するぞと言って金銭を要求する行為は、暴力団であれば、暴対法の中止命令の対象になります。またそれ以外の人であっても、脅して金銭を交付させることは、恐喝罪が成立します。いずれにしてもこうした要求があった場合には、電話であれ、面談であれ、その内容を録音かメモをして警察に届けるか、暴追センターに早めに相談をしてください。

4.金銭を支払ってしまうと
 そのときはいったん下がりますが、金のなる木は放しません。さらに今度は、金を払ったことをネタに脅かされます。何より大切なことは、暴力団や新聞ゴロに金銭を渡せば、そのこと自体が会社にとって、不名誉な事実となることを忘れてはなりません。

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Q4.業界紙の購読を要求される
A.          
最近、暴力団等が業界情報や企業幹部のスキャンダル等を売りつけたりして、企業から金員を獲得しようとする活動が目立っています。企業経営のため必要と判断される業界紙の購読であれば何ら問題はないのですが、軽い気持ちの「事なかれ主義」で購入を始めることは、絶対に避けるべきです。


1.要求はエスカレートする
 「事なかれ主義」で一度要求に応じると次から次へと要求がエスカレートし「前に要求に応じたのだから」と断りにくくなります。

2.事前の対策
 まず、会社自体で、業界紙等の不当な購読要求には断固拒絶する旨の基本方針を確立しておき、そのことを社長以下全社員に徹底しておくことが肝心です。

3.毅然とした態度ではっきりと断る
 相手が暴力団であれ、政治・社会運動団体であれ、いらないものは「いらない」とはっきり断りの意思表示をすることが大切です。断るのにその理由まで言う必要はまったくありません。電話の場合は、「結構です」「いいです」と言った断り方は容認したことにとられることがありますので注意してください。

4.勝手に送られてきたとき
 この行為は、「契約の申し込み」にすぎず、代金の支払や物品の返送義務は生じません。送りつけた日から14日を経過すると送り主の返還請求権はなくなります。しかし、後日のトラブル防止のために「内容証明郵便」で返送しておいた方が無難でしょう。

5.その他
 (1)現在購読をしている場合も、この際勇気を出して断りましょう。
 (2)設問のような事案がありましたら福井県暴力追放センターに相談してください。
   (フリーダイヤル 0120-214-893)

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Q5.トラブルを巡り暴力団に面会を求められた
A.
 結論から言うならば、相手は暴力団であり、とうてい平穏な交渉をすることを期待することは無理ですから、警察か福井県暴力追放センターまたは弁護士さんに相談してから相手と交渉をすることがよいと思います。

1.トラブルの内容把握
 まず、トラブルの内容ですが、会社の誰がどこの誰に対して行ったトラブルなのか、暴力団は当事者なのかそれとも代理人なのかを早急に把握する必要があります。

2.自ら面会するときの留意事項
(1)毅然とした態度
  毅然とした態度で断るべきははっきりと断ることが最も大切です。その場限りの妥協はせず、組織人としての自覚を持ち個人的な対応はしないようにしてください。

(2)場所、人数、時間等について
 面会は自己に有利な場所を選び、二人以上で対応するようにしてください。組事務所での面会や、深夜の面会は絶対避けるべきです。時間はあらかじめ交渉前に30分を限度とする旨を通知しておくのも良いでしょう。

(3)話し合い上の注意
 言うべきことははっきり言い、断るときははっきり断る。詫び状や抽象的な文書等は絶対に書かないことです。相手がよく「誠意を示せ」ということばを使いますがその時は、誠意とは何かを相手方に説明させると良いでしょう。

(4)その他の注意事項
 面談の場が脅迫や恐喝の場になることもあるので証拠保全上、相手方の名前を確認するとともに、必要があれば録音したり、内容や状況は出来るだけ正確にメモしておきましょう。脅迫的な言動(椅子をけったり、灰皿を投げる)があれば直ちに面談を中止してください。その内容がひどいときには警察に通報すべきです。

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Q6.暴力団の車に追突した
A.
  損害保険等に加入している場合は代理店を交えて話をすべきですが、原則的には過大な要求は拒否し、修理業者に見積りをしてもらい、その金額の範囲で交渉することです。

1.車両破損による損害の原則
 修理可能でかつ、車両の時価相当額よりも修理費の方が少ない場合は、代車使用料の問題は別として、その修理費を払えば十分です。

2.見積金額を限度に交渉する
 この事故の場合、弁償すべきですが、破損が十分修理可能であれば、信頼できる修理業者に見積りを出させ、その金額をもとに相手と交渉すべきです。(暴力団事務所に行ったり、念書は書かない)彼らはごく一部の破損に全塗装を要求するなど、過大な要求をしてくると思いますが、現状回復の範囲内で修理すれば十分です。

3.暴対法による対抗措置
 交渉の過程で、自分が暴力団であることをちらつかせ、組事務所への呼び出しを強要をしたり、新車に替えなければ、何をするかわからないなどと脅かすかもしれません。そのときは福井県暴力追放センターまたは警察署に相談してください。相手方が指定暴力団であれば、暴対法に基づき公安委員会が中止命令を出してくれます。それで不当要求はとまるでしょう。

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Q7. 暴力団企業との取引
A.
 会社が誰と営業しようと自由ですが、特別に暴力団関係企業との取引に応じる必要もないのに、儲けだけを考えて取引に応じようとするのは考えものです。

1.取引をして失敗した例

(1) はじめに儲けさせ、あとの取引を断れないようにされ、危険な取引に巻き込まれた。
(2) 暴力団側があなたの会社と取引があることを詐欺の小道具に使ったため、いつの間にか暴力団癒着企業との評判を立てられた。
(3) 他の暴力団関係企業との取引も断れなくなって、暴力団出入り企業として業界内外に噂されるようになった。
 このような失敗をすると、あなたの会社は経営上の企業モラル違反を問題にされ、会社の信用は大きく傷つき多大の損害を被ることになります。

2.勇気ある取引拒絶
初めての商談で、相手が暴力団関係企業とわかったならば、はっきりと取引を拒絶することが大切ですが、取引以後に気づいた場合、裁判では「相手方が暴力団関係者であることを理由とする取引の拒絶や停止には正当な事由がある」とされており、不安があればきっぱりと断るべきです。こうした考え方は、協賛広告の打ち切り、雑誌購読の中止、取引契約の縮小、解消、事務所または居宅の賃貸借の解約更新拒絶についても同じです。
 特に、取引以後の契約を解消するときは、弁護士に委任するなどして対応すべきでしょう。

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Q8.電話で役員の住所や電話番号を聞かれた
A.
 相手の様子や電話をかけてきた目的などをすばやく的確につかむことが肝心です。相手方が特定できるように、名前、会社名、職業など上手に聞き出してください。

1.教えた場合の問題点
 暴力団が最も得意とする個人攻撃の対象となり、会社の内紛、スキャンダルを聞きだそうとしたり、個人を脅しの標的にする危険が非常に高くなります。役員が暴力団と腐れ縁ができてしまうと、彼らの不当な要求に対し会社側は毅然とした態度がとりにくくなります。

2.原則は拒絶すること
 個人生活と会社の区別といった観点からも、むやみに住所や電話を教えるべきではありません。「当社としましては、社員の自宅や電話は教えないことになっております。」と拒絶すべきです。ただし、緊急性があるようなときは、相手の連絡先を聞いて、当方から返事する旨を伝え電話を切るべきです。

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Q9.狙われやすい会社とは?
A.
 基本的には、企業が経営姿勢を正し、暴力団などに付け込まれる隙を与えないことです。トラブルが発生した場合、責任を回避したり、金で解決しようとするような姿勢では暴力団に狙われる結果となります。彼らは、常に新しい手口を工夫してきますから、企業の自衛体制を整えておく必要があります。

1.担当窓口、指揮命令系統の整備
 担当窓口、指揮命令系統を明確にし、相互に緊密な連携をとりながら対処できる体制を確立してください。そのために、暴対法による「不当要求防止責任者」の選任をし、トラブルが発生した場合は、会社全体で意思統一し不当要求は許さないという強い姿勢で解決に当たることが大切です。

2.情報収集、連絡体制の整備
 トラブル発生時に、相手方の正体がわからないと不安と混乱が生じますから、多くの情報を収集できる体制を確立しておく必要があります。企業内部はもちろん、同業他社、警察・関係諸官庁や当福井県暴力追放センターとも緊密に情報交換が行える体制をとることが大切です。

3.社内における研修・啓蒙の強化
 相手方も脅しのプロであることが多いので、具体的な暴力団の特性とか、脅しの手口を知っておくことが大切です。そのためには、公安委員会が実施している「不当要求防止責任者講習」を受講するなど研修をしておくことが必要です。
   -不当要求防止責任者講習についてのお問合せ先-
  福井県警察本部組織犯罪対策課  TEL 0776-22-2880(内線4533)
  公益財団法人福井県暴力追放センター   TEL 0776-28-1700

                               不当要求防止責任者のご案内はこちら

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Q10.暴力団事務所に呼び出された
A.
 組事務所のようなところでは、一般の人では正常な交渉ができるものではありません。なかば監禁状態で法外な示談を迫られ、彼らの要求を了解、約束するまで帰らせてもらえません。こうした事態が予想されるところに出向くことはありません。

1.交渉の場所
 ホテルのロビーなどが適切です。組事務所への呼び出しは、「閉鎖された場所でなくオープンな場所で話し合いをします。」とはっきりと断ることです。

2.暴力団対策法の活用
 暴力団対策法第29条第3号では、指定暴力団員は、「人に対し、債務の履行その他国家公安委員会規則で定める用務を行う場所として事務所を用いることを強要すること」
を禁止しています。相手が指定暴力団であれば公安委員会が中止命令を発することができます。

3.交渉上の留意点
 「誠意を示せ」「けじめをつけよ」など法律以外の部分で法外な金を要求してきます。交渉に当たっては必ず複数の人数でいくこと、決定権を有する責任者は行かない、メモを取るなど注意が必要です。また事前に警察や暴追センターと、交渉の対応など事前の打合せをしておくことも大切です。

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Q11.フロント企業の見分け方
A.
 「フロント企業」とは、暴力団や、元暴力団であった者または暴力団の親族などが経営し、暴力団を資金の面で支えている企業のことです。「企業舎弟」とも呼ばれています。

1.商業登記簿・不動産登記簿謄本で確認
 最近は暴力団とは無関係を装い合法的な企業形態をとっていたりしますので見分け方に注意します。役員に暴力団員の親族や事件師などが名を連ねていれば要注意です。役員、本店所在地、会社の目的が不自然に変更されているもの、不動産関係で、信託登記、差し押さえや仮登記が多く、名義変更も頻繁にされているものなどは要警戒です。

2.注意深く観察
 (1)経営者、従業員の身なりが身分不相応
 (2)名刺を何種類も持ち、肩書きも大げさ
 (3)こちらから連絡は取れにくいが、相手からはすぐに連絡が入る
 (4)取引での公的規制の知識に乏しくそれを無視する
 (5)急激に取引が増大する
 (6)知名士の名前を挙げるなど話題は豊富であるが、押さえつけるような言動
 (7)ビルの同居人が同じような人物・会社
 (8)出入りの業者・客が異様
 (9)高額な取引にかかわらず現金を求めてくる
 (10)常識では考えられないような安価な代金、短い納期

3.情報収集と観察
 フロント企業を見破る決定的な方法はありませんが、相手方を訪問するなり直接自分の目で注意深く観察すれば、その特徴は浮かび上がってくるものです。
また不審な点があれば警察や暴追センターへ問い合わせてください。

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Q12.取引のもつれから電話による嫌がらせを受けている
A.
 電話とはいえ、暴力団と対応するのに、平静な気持ちでいられるわけがありません。不当な要求には一歩も引かないという決意を固めることです。そのことが相手に分かると無駄なこと、危ないことはしないというのが彼等の合理性ですから、引き下がります。

1.社内の意思統一
 担当者は上司に事の詳細を正確に報告し、トップは部下任せにしないで、対処方針を会社全体の問題とすると共に、対応する体制を固めることが大切です。トップが部下任せにしたり、逃げ腰の態度をとることは問題を大きくするばかりです。
2.対応時の留意事項
 (1)トップを電話口に出さない
 (2)相手方の確認をする
 (3)記録、録音をする
   内容によっては、脅迫、恐喝、強要等の犯罪になることもありますので、電話はテープに録音しておいて下さい。また、応対する自分の声が同時に録音されることを意識しますから、相手の挑発にのらず、逆に卑屈にもならないという副次的効果も生むはずです。
 (4)曖昧な対応はしない
   「相談させていただきます。」「検討させてください」等と、その場逃れの答え方はしないでください。
3.仮処分の申し立て
 以上のように対応しても、暴力団からの電話が続くときは、弁護士にお願いして「架電禁止」という仮処分の申し立てをしてもらうのがよいでしょう。
 暴力団は、表面は強いことを言っていますが、法的手続きにより裁判所に出頭するようなことを極端に嫌います。早めに法的手続きのレールに乗せることが解決を早めることもあります。それは、暴力団に裁判に訴えても、要求に応じないというこちらの決意を知らせることになるからです。
4.警察、福井県暴力追放センターに連絡
 この場合は、早めに警察、福井県暴力追放センターに連絡して、対応要領等について助言を受けてください。こうしていおけば、電話で応対する者も、自分一人で闘っているのではないという気持ちで応対できます。

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Q13.応対態度に因縁をつけられる
A.
何らかの事情でお客様に不愉快な思いをさせてしまった場合、社員の暴行、侮辱、名誉毀損行為等で誰がみても行き過ぎであると感じられるときは別として、会社の責任は原則として道義的なものにすぎません。

1.因縁をつけられた場合
 こうした場合は、当該社員と当面の責任者において誠意をもってお詫びすれば十分です。大声を出したり、他のお客様に迷惑をかけるようであれば、別室に案内して気を鎮めてもらって再度お詫びしてください。
 金品での解決をすることは絶対に避けてください。後日「あの会社はカネになる。」と風評の原因となり、同じ行為が繰り返される危険があります。
 また、「詫び状」の要求があった場合も応じてはなりません。詫び状だけが一人歩きして、会社の信用を傷つけ、あるいは、損害賠償請求の証拠として悪用されることがあります。
2.金銭賠償が必要となる場合
 会社または社員が金銭的賠償をしなければならない場合とは?
 ●加害者が故意または過失で ●違法な侵害行為により ●相手方に損害が生じ ●その損害と侵害行為との間に相当因果関係のあるときです。
 こうしたことがない限り、「当社としては、あなたに損害賠償すべき法的義務はないと考えていますので、お金を払うつもりはありません。」と明確に伝えてください。
3.それでも応じない場合
 (1)職場の平穏を回復するために、その場の責任者から「仕事に差し支えますから、お引取りください」とはっきりと伝えてください。それでも退去しない場合は警察に通報してください。
 (2)相手方が執拗に金銭の要求を繰り返すようであれば、公安委員会から中止命令をかけてもらうこともできます。また弁護士から面談強要禁止等の仮処分の手続きをとってもらうこともできます。

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Q14.暴力団が難癖をつけ謝罪を要求された
A.
謝罪だけではすみません。暴力団は謝罪要求という方法で会社の姿勢を見ています。最初から毅然とした姿勢で対応すれば、その後の要求を防ぐことが出来ます。

1.暴力団の目的
 (1)最終の目的はカネ
 謝罪させることに目的があるのではなく、そのことを一つの道具として利用し金を稼ごうとしているのです。最終的には何らかの方法で金銭を要求してくることになります。
 (2)謝罪要求は始まり
 謝罪要求は最初の手段です。謝罪をすると相手は次の要求もまた受け入れてくるだろうと当然考えます。
2.対応要領
 (1)要求の拒絶
謝罪要求の最初の段階で、絶対に応じないという強い意志を示すことが重要です。
 (2)専門家との連携
 相手の暴力団の規模や過去の活動歴を知ることは、対応の仕方を決めることで重要です。警察や福井県暴力追放センター、弁護士等の専門家に相談することです。相手に関する情報を的確に把握した上で安全を確保しながら交渉します。
3.暴力団対策法の措置
 謝罪要求にとどまらず、会社のミスではないことミスだと主張して金銭を要求するようになった場合は暴対法の不当要求行為にあたり、「中止命令」の対象となります。直ちに警察に届けてください。

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Q15.下請け参加を要求された
A.
1.基本的な対応方法
 (1)不当な要求には断固として断る
 安易な妥協はしないことです。相手は刑事事件となることが一番怖いのですから、激しい言葉があっても実際に暴力的行為に出ることはまずありません。金銭の要求を直接言わずに「下請けに入れろ」「善処しろ」等と責めてきますがそれに根負けしてはいけません。
 (2)組織全体での対応
 近年、暴力団やエセ右翼、エセ同和等が不当要求を行う場合、その手口として企業の監督官庁の名前を出したり実際にその官庁に連絡を取ったりして企業に対する監督権限を悪用しようとする傾向が見られます。不当要求には、担当者任せにするのではなくトップの毅然たる対応方針による組織全体での対応が大切です。
2.具体的対応方法
 (1)相手の確認と用件の確認
 相手の住所、氏名、所属団体、電話番号を確認し、車で来たときは車両番号も控えてください。それから用件を確認し、代理人の場合は委任状の確認も忘れないでください。
 (2)応対要領
 応対するときは、相手より精神的に優位に対応できるよう自社の応接室等で、相手方より多い人数で対応し、応対時間も可能な限り短い時間にすること。最初の段階で対応時間を明確に伝えておいたほうが切り上げやすくなります。
 (3)書類の作成や即答、約束はしない
 相手は会社の方針が固まらないうちが勝負の分かれ目と考え執拗にその場で回答を求めます。また、「一筆書いてくれ」等と要求しますが絶対に、書類を作成したり、安易な約束、即答はしないことです。
 (4)トップは出さず内容は記録化
 決裁権者のある者が出ると即答を迫られ、次回の交渉で「この前は社長に会った。お前ではだめだ。社長を出せ」と言われます。また面談や電話の内容は後の相談や犯罪検挙に必要なことですのでメモや録音をしてください。
 (5)早めに警察や福井県暴力追放センターに相談
 暴力団やエセ右翼からの攻撃に対して一企業だけで解決を図ろうとしても無理なところもあります。早い時期に相談をして適切な助言、指導を受けることが得策です。こうしたケースでは指定暴力団が絡んでいれば公安委員会から中止命令を出してくれます。

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Q16.ヤミ金融事件の被害にあわないためには
A.
1.ヤミ金融事件とは
 090金融とか080金融と呼ばれているものでヤミ金融業者による身に覚えのない事案、あるいは違法不法な要求事案をいいます。過去にサラ金等を利用した人の名簿を元に、融資名目で預金口座へ振込を行ったり、債権を請け負った等のハガキを出しその後、電話を利用して執拗に極めて悪質な「暴力的発言」を脅しの手段とするもので、本人の自宅以外にも、職場、親戚等に電話し高利の支払いを要求するものです。
2.貸付の手口は・・
 (1)一方的な預金口座への振込による高利貸付
 (2)低金利を装った振込による貸付
 (3)融資相談をしただけで一方的振込による貸付
 (4)虚偽電話により預金口座を聞き出し、一方的振込による貸付
 (5)振込の場合、前利息が差し引かれる
3.取立の手口は・・
 (1)職場や家族、親戚等に執拗な嫌がらせ電話による取立
 (2)脅迫内容の電報による取立
 (3)近隣者に知らせる等と脅しによる取立
4.被害にあわないためには
 貸金業者から借金をしないことが一番ですがどうしても借りなければならないときは次の注意をしてください。
 (1)相手のわからないところから安易にお金を借りたり融資の申し込みをしない
 (2)貸金業者の所在地、登録番号、担当者、電話番号、契約内容を確認する
 (3)安易に自分の口座番号を教えない
 (4)自分以外の情報(親族・友人・・・)は絶対に教えない
 (5)一部の返済でもそのつど領収書を取り保管する
5.被害に遭った場合は
 借りた金は返済するのが当然ですがヤミ金融といえどもきちんと対応すれば過払い金を取り返すことが出来ます。強い気持ちと毅然とした対応が必要です。指定暴力団が取立を行えば中止命令の対象にもなります。ヤミ金融への対応も暴力団への対応と同じで不当な要求(高金利)には絶対に応じないことです。

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Q17.知らない団体から債権回収のハガキが・・
A.
 最近下記のようなよく似たケースの文書が出ています。
 「債権譲渡の規制によりあなたの債権業務を強制的に行い実行します。本日中にご連絡、ご入金なき場合には、弊社特別会員がご自宅、ご勤務先、ご親族関係者方々等に早急にお伺いすることになります。もし早期解決をお考えであれば至急ご連絡ください。」
    債権者代理人○○会 (全国債権回収協会加入)
 等と書かれています。
彼らの狙いは・・
 こうした通知書は「同窓会名簿」とか「得意先名簿」等を見て借金があるなしにかかわらず無差別に出しています。そして脅しや勘違いで入金されたり、問い合わせの電話が架かってくると話の内容をうまく利用して脅したり、騙したりして金を振り込ませようとするのです。
対 策
1.金を振り込まない

 もし、金融機関や消費者金融に借金があっても早合点したり、勤務先に電話されると大変だと思って送金したりしてはいけません。全くの偽通知ですので注意してください。
2.連絡をとらない
 入金がなくても断りや問い合わせの電話があるとこれは芽があると判断し、徹底的に攻め立てます。言葉の揚げ足を取って脅し、今にも街宣車が来たり怒鳴り込んでくるかのように大声を上げて金を振り込ませることを約束させられます。連絡は絶対してはなりません。
3.電話が架かってきたら・・
 それでも電話が架かってきたら、「そうした借金はありません」とはっきり断ることです。誘いに乗ってあれこれ長話してはいけません。彼らは口先一つで金を脅し取るプロです。まともに話し合っても勝てるはずがありません。電話は毅然として早めに断り、相手が「この相手ではだめだな」と思わせることが大切です。
4.早めの相談
 それでも心配であれば、早めに警察や暴追センターに連絡、相談してください。

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Q18.一方的に図書が送られてきた
A.
 暴力団は様々に姿をかたちを変えて接触してきます。県内でも相変わらず右翼団体や同和団体を標榜する者から高価な図書を一方的に送りつけてくることがあります。これらは図書購入に名を借りた金銭要求行為です。次のことを参考にして対応してください。
1.契約の有無の確認
●宛名人はもとより、社内で確認をしてください。役員等が断りきれずに個人で契約している場合があります
●契約があった場合でも一定期間内(原則八日間)であれば「クーリングオフ」制度を利用し契約を解除することができます。
2.契約の事実がない場合
●契約の事実がない場合でも「民法」による一定の管理義務が課せられます。処分しないよう注意しましょう。
●契約の事実がなく購入の意思がない場合には、「特定商取引に関する法律」に基づき、原則十四日間以降は法的に処分することは可能ですが、後々のかかわりや言いがかりを断つため拒否の意思表示を明確にした上で返送することが賢明です。
3.返送の方法
●開封前
 宛名面に「受取拒否」と明記し、配達員または郵便局を通じて渡しますと差出人に返送されます。
●開封後
 開封すれば受領とみなされます。相手方に引取りを要求するか、返送することになります。返送の場合、トラブルを避けるため、「配達証明郵便」で返送することが確実です。
4.返送する文例
 当社は送付されてきた図書「○○○○」を注文した事実もなく購読する意思もありませんので、送付された図書を返送します。また、今後も購読する意思がないので送付しないでください。

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Q19.不当要求の具体的対応要領
A.
 暴力団員等からアプローチを受けた場合は一企業(一人)で悩まず警察や福井県暴力追放センターに早く相談してください。
具体的な対応要領
1.有利な場所での応対

●暴力団の指定する場所や組事務所等には出向かない
●応接室を指定し、録音機等の点検をしておく
2複数で応対
●相手より多い人数で応対し、役割分担を決めておく(応対担当、記録担当、連絡担当、確認担当)
3.相手の確認
最初の段階で相手がどこの誰かを確認する。
●名刺をもらう。面会カードを作成する・・・
●車のナンバー・人定等をメモ
4.用件の確認
●最初の段階で用件を確認
用件は相手から言わせるようにし、相手が質問に答えない場合は相手の質問にも応じない態度を明確に示す
5.交渉は短時間
●アポイントのない面会は原則として断る
●用件に見合った応対時間を最初に通告し、時間になったら明確に打ち切りの意思表示を行う。
●湯茶等の接待はしない
6.対応責任者が応対
●不当要求責任者などが応対
●最初からトップに応対させない
7.応対状況の記録
●応対した内容はメモや録音に残しておく
●相手に録音したことを明確に告げて録音する
8.毅然とした応対
●対応責任者は法的対抗手段を念頭に毅然とした態度で要求を拒否
●「相談させていただきます」「検討させてください」等とその場逃れの答え方はしない
●不用意な即答や約束はしない
9.詫び状等書類作成は拒否
●理由のない書類を作成したり相手の書類に署名押印しない
10.警察・福井県暴力追放センターとの連携
●不法行為に及んだときは直ちに110番
●不当要求を受けたときは、早い機会に警察や暴追センターに相談

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Q20.暴力団組長の使用者責任とは
A.
組長の使用者責任とは・・
指定暴力団の組員が抗争で他人の生命や財産に損害を与えた場合、被害者は指定暴力団を代表する組長に「損害賠償責任」を問えるということです。従来は市民が巻き添えになった暴力団抗争にからむ民事訴訟では、加害者の組員の責任は認められても支払能力がないなどの理由で賠償が困難な場合が多く、また組長に民法上の使用者としての責任を問う場合でも抗争などは「事業」とはみなしにくいとされ、被害者は泣き寝入りとなっていました。こうしたことから暴対法の一部改正や最高裁の判例があり、暴力団組長に対し組織のトップとして使用者責任を追及し、損害賠償をさせていこうとするものです。
暴力団組長の使用者責任確定判決(最高裁)
平成七年八月に山口組と会津小鉄会の対立抗争中、五代目山口組の下部組織組員に会津小鉄会組員と誤認され、警察官が殺害されました。遺族が五代目山口組渡辺組長に対して提起した損害賠償請求訴訟の上告審判決が最高裁であり、末端組員の違法行為について「上部団体の組長に使用者責任がある」との初判断を示し、渡辺組長の上告を破棄し同組長に賠償責任を命じた2審・大阪高等裁判所判決が確定しました。
暴力団対策法の一部改正
暴対法の改正で「指定暴力団の代表者(組長)等は、凶器を使用した対立抗争又は内部抗争によりその指定暴力団員が他人に損害を与えたときは、これを賠償する責めに任ずる」と民法上の規定にかかわらずトップの使用者責任を明らかにしました。また立証事項として
●指定暴力団相互間又は当該指定暴力団内部の集団相互間に対立が生じたこと
●不法行為が当該対立に伴い行われた凶器を使用しての暴力行為であること
●当該暴力行為が指定暴力団組員によって行われたこと
この三点を立証すれば過失の有無にかかわらず代表者(組長)等の損害賠償責任が成立するとされています。
おわりに
 今回の判決は暴対法改正前の事件ですが民法上においても「組長の使用者責任」を明確に認めています。また改正暴対法は資力のない末端組員に責任を押し付ける「トカゲの尻尾切り」を許さない趣旨で抗争に限定して一次団体トップの賠償責任を問える仕組みを設けたものです


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