第二線をめぐって。　　　　　　　　

ヨセではどういうところが大きいのか、実戦でできやすい形で見てみましょう。

第三線を布石線というように、序盤の主役は第三線です。

ヨセでは第二線が争点となります。

第二線の下がり、ハネツギ、切り取りなど、手段としてはそうムツカシイものではありません。

　　１図

  ❶ 、❸ のハネツギ。

　後手６目のヨセで、第二線のハネツギとしては
　最小の手です。

  白から ③ の地点にハネツグのも、やはり後手６目。

　これを最低の形として、いくらでも大きいハネツギが
　あります。

　

 　　２図

　❶ 、❸ を、直感で何目くらいの手だと思いますか。

　「１０目以上」という応えなら正解としましょう。

　１ 図 の最小のハネツギの二倍以上の大きさ
　なのです。

　当然白は手を抜いて、、、、

　

　
　　３図

  ❺ から ⑩ までとなるところで、
　これは黒の権利です。

　

　

 　　４図

  逆に白が ➀ 、③ とハネツギます。

　黒が手抜きして、、、

　

　
　　５図

　いずれ ➀ から ❻ まで、白の権利の先手ヨセです。

　３図 と ５図 を比べ、双方の地の出入りを計算して
　下さい。
 
  ３図 の白地は、５図 よりも７目小さい。

　５図 の黒地は ３図 より７目減っている。

　従って、どちらのハネツギも「１４目」です。

　

　

 　　６図

　Ａ の点をどちらが打つか、「１０目以上」　なのが
　ピンと来るはずです。

　これは定石から生じた形。

　

　

　

　

　
　　７図

　小目の黒に白が一間高カカリし、
  ❶ 、❸ とツケ引く定石。

　

　

　

 　　８図

　先ず黒から打った図。

　❶ 、❸ とハネツギ、白が手を抜けば 
  ❺ から ⑩ までです。

　

　
　　９図

　白から打つには ➀ の下がりが正しい。

　黒が Ａ と受ければ白は先手で黒のハネツギを
　封じたことになるので、これも黒は手抜きと見る
　のが常識です。

　続いて、、、

　

　

　

　

　

 　　１０図

　( ❷　手抜き。)

　③ とツケ、❿ までの先手ヨセ。

　上の図 (８図) との比較です。

　８図 と比べ、当図は　白地が８目増え、
　黒地が８目減りました。

　したがって、８図 の ❶ も、１０図 の ➀ も、
　どちらも １６目の手となります。

　

　
　　１１図

   ( ❹　手抜き。)

　➀ 、③ とハネツグと、❹ 手抜きのあと 
  ⑤ から ❿ まで。

　１０図 より白地１目減、黒地１目増で、白は２目損
　をします。

 

　　１２図

　この　➀　のハネツギも１０目以下ということは
　あり得ません。

　このあと受けるのは後手だから
　黒は手抜きし、、、、




　
　　１３図

　後に ➀ とハネて❻ まで、
  白の先手ヨセが残ります。

　

　



　

　

　

 　　１４図

  ( ④　手抜き)

  ❶ 、❸ とハネツゲば白は手抜き。

　あと ❺ から ⑩ までを想定します。

　１３図 との出入りを計算して下さい。

　当図は １３図 より白地７目減。　黒地９目増。

　したがって１６目のヨセです。

　
　　１５図

  ( ③　手抜き)

  ➀ に ❷ と受けるのは白に手を抜かれ、
　利かされです。

　のちに ❹ から ❽ までと切り取っても
　また後手を引きます。

　

 　　１６図
　
　これもしょっちゅうできる形で１０目以上のヨセ
　の一つです。

　黒の星打ちに白が三々に入ってできる形。

　③ には手を抜いて、、、 　

　

　
　　１７図

  ➀ から ❻ までが約束された運びです。

　むろんこれより大きいヨセがなければ、すぐ
　❶ と下がる逆ヨセを打つべきですが、
　そういう例はごくまれです。


　

 　　１８図

　( ④　手抜き)

　❶ 、❸ とハネツギ、白手抜き、❺ 、⑥ と
　なった形を 左図 (１７図) と比べて下さい。

  当図は１７図よりも、黒地７目増。　白地６目減。

　したがって１３目の手と計算できます。

　
　　１９図

　黒から打つ場合このように ❸ と切って決める
　打ち方もあります。

　❼ は打たずに残しておくのも一法。

　手を抜いて ⑦ と切られても ❸ 、❺ が利かしに
　なっているからです。

　やや高級な考え方です。

　

　

 　　２０図

 ( ④　手抜き)

  この ❶ 、❸ も大きい手。

  ④ で手を抜くと ❺ から ⑩ まで。
　

　

　

　
　　２１図

　➀ 、③ とハネツギます。

　黒が手を抜いたあと、白からどんなヨセ
　があるかは、多分ご存じのはずです。

   白はどううちますか。


　

 　　２２図

　➀ のツケが常用の手筋で、❷ 、❹ まで
　白の先手ヨセ。

  ２０図、❺ 以下を打った図より
　当図は白地が７目増え、黒地が１０目も
　減っています。

　従ってハネツギは１７目の手です。

　
　　２３図

　白のツケを嫌って❶と受けるのは逆ヨセ６目。

　単純な後手ヨセの１２目につくので、こう受ける
　例も多いのです。

　

 　　２４図

　第二線のハネツギの最後、おそらく最大だろう
　と思われる形をお目にかけます。

　Ａ の地点をどちらが打つか。
 
　白からはハネツグのではなく、 Ａ と下がった方が
　よいのです。

　
　　２５図

  ➀ と下がり、③ とツケてヨセるのは１０図と
　同じ要領です。

　❿ まで、これが白から打った場合の想定図。

　このあと、Ａ の点は互角の権利。

　黒 ▲、白 ◎は黒の権利です。

　

 　　２６図

  ❶ 、❸ のハネツギ。

　次に黒 ◎とツケる手があれば白は受けなければ
　なりませんが、黒 ◎は白 Ａ の下がりで手になりません。

　そのため、❸ のあと、白は手抜きするのが普通。

　さて、そこでどうヨセるか、黒の腕の見せ所。

　
　　２７図

　❶ 、② のとき ❸ と切り込む筋があります。

　これに対し、、、

　

　

 　　２８図

　➀ と受けるのは ❷ とツケられていけません。

　渡りを妨げる手段がなく、白地が破られて
　しまいます。

　

　
　　２９図

　黒の切りに ➀ と受ける一手。

　❷ から ❸ の取りが先手に打てるのが切りを入れた
　効果です。

　❹ はこう取るか、④ とツガれて白 Ａ、黒 Ｂ となるか、
　出入り４目の手。

　それを先手で打ったのだから大儲けです。

　さにら、、、、

　

 　　３０図

　❶ から ④ まで、先手ヨセを打って終了します。

　これが黒がハネツイだ場合の想定図。

　２５図と比べて下さい。

　(２５図では Ａ の４目を折半し、ここに黒地４目と見ます)

　３０図は ２５図より黒地１０目増、白地９目減、

　実に１９目のヨセなのが知られます。

　
　　３１図

　平凡に本図のように打つのでは、黒Ａが先手にならず、
　白地も１目多くて損です。




　

 　　３２図

　ハネツギ、コスミのほかに、第二線にツケで
　ヨセる形もあります。

　Ａ のコスミはヨセの必争点で、両先手６目の手。

　もう一歩突っ込んで、、、

　
　　３３図

　❶ のツケが成立します。

　② 、❸ のあと、④ の受けが省けません。

　省けば黒 Ａ とツケて渡り、白地はごく小さなものに
　なってしまいます。

　と云って、、、、

　

 　　３４図

　② とハネ出し、❼ までと破られては論外でしょう。







　
　　３５図

　白からも➀、③とツケ引くことができます。

　ただ、次に白Ａとツケる手があまり大きくないので、
　黒に受けてもらえるかどうか。

　受けが期待できればツケ引くし、
　そうでなければ➀では③にコスミ、先手を取って
　他に転じます。

　このへんは全局とのかねあいです。