オーディオ・ゼネレータの修理
トリオのオーディオ・ゼ゙ネレータ AG202Aをオークションで入手した。不動品ということで格安で
あった。そのかなり,てこづった修理についての報告です。

AG202AはCR発振で、20Hzから200KHzを4レンジにわけている。
まず、電源を入れてみるとランプはついた。オシロで出力を確認すると4レンジの一番高いレンジで
発振が確認できた。あとの3レンジでは発振していない。
どうやら、レンジに関するスイッチ、抵抗、コンデンサかと判断し点検した。
特に低レンジ(低周波数)の抵抗は高抵抗を使用しており抵抗値の変化も疑われる。また
この機器は製造されてからかなり年度もたっており、スイッチの絶縁抵抗も確認した。
が、不具合のようなものは見つからなかった。

次にまず回路図を入手すべく、メーカにメールした。
折り返し連絡があり、回路図はあるが「承諾書」なるものの提出が要求された。
PLO法の関係であろうか、その内容は感電、火災等の事故の防止についての責任は
持つように述べられていた。
承諾書を送付すると、メールで回路図が送られてきた。
発振部の回路図
回路図には所々に電圧の記入もあるので、実測してみた。
発振FET Q1 D:正常電圧24.7V  レンジ「×1000」の時実測11.9V 他レンジの時実測4.9V    
     
    Q1 S:正常電圧16.8V  レンジ「×1000」の時実測11.1V 他レンジの時実測4.6V

レンジ×1000では電圧が低いが発振しているのである。
電源電圧はほぼ回路図の電圧を示している。

レンジに関する部品の不良は認められないのに、この電圧の差はなんであろうか。
発振回路周辺の抵抗値測定、一部コンデンサー交換なども行ったが変化なしである。
少し落ち込んでしまった。

何日かして再び電圧測定をしていた所、おかしいことを発見した。
R3 13Kの電源側の電圧と R10 22K負荷側の電圧が違うのである。(次ページ参照)
この間は基板のパターンでつながっているはずである。
テスターリードでその間をなぞえていくとある点で電圧の急な変化を認めた。
その点は基板のクラッカー跡の所である。一見してパターンの損傷は認め
られないが、見事に割れていたのである。

ハンダを盛り付けて全レンジ動作OKとなった。
一部動作が正常であっただけにてこずってしまった。
再現テストは実施していないが、原因としてFETに流れ込む電流がレンジにより
変わり、×1000レンジでは少ない電流のため、切断箇所の接触抵抗の電圧降下が
少なく動作していたと推定している。

修理時、まず部品の不良ばかりに頭がいきハンダ不良、基板の絶縁不良、ネジゆるみ
などに頭がいかないことが多いが、これらの不良は結構多いものである。
きれいなサインカーブ
が全レンジ出力された
姉妹機のオッシレータと
オシロスコープ
切断箇所